腹膜や肝臓への転移があるため、もう手術での治療はできないと言われており、抗がん剤で治療しています。抗がん剤は使っているうちに耐性がついてだんだん効かなくなっていくため、がんが進行するたびに次の薬へと変更されます。
現在の薬は3つめ。免疫力が極端に下がるため、人ごみなどに行くとすぐに病気をもらってしまいます。5月に感染症からの肺炎で半月ほど入院したこともあり、現在は電車や週末の繁華街などの混雑する場所は避けて暮らしています。
なんだか悲壮感漂う暮らしをしているような文章になりましたが、実際はけっこう機嫌よく暮らしています。この2年半の間に「あれ? まあまあ生命の危機って感じじゃない?」という瞬間もあったものの、夫は喉元過ぎれば熱さ忘れるタイプのようで、すぐにケロっとしています。
夫と同じ症状に苦しんでいる人のSNS投稿を読んで聞かせると、共感することなく「かわいそうね」と他人事のように言うので、
「いやいや、あなたも先週同じ症状で苦しんでいたよ」
と指摘すると、
「あ〜本当だね。そうだった。すっかり忘れてた」
と、テヘヘと笑うのです。関西人としては「なんでやねん!」とツッコミたくなるのですが、そんな夫の明るさ、前向きさは、私の心を軽くしてくれているのも間違いありません。
家が近ければ入院の負担と荷物は軽くなる
そんなふうに、機嫌よく暮らしてはいる夫なのですが、病人は病人。原因不明の下血や感染症による高熱など、原因はさまざまながらほぼ2〜3カ月おきのペースで入院しています。入院時に持って行く荷物はかなり少なく、リュック1つだけのことも。
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