義務教育段階で制服を着ないのはアリなのか? 生徒主導の「校則見直し」西武文理の場合ー後編

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「でも考えてみれば、議論に参加したのは一部の生徒です。学校全体のマジョリティは議論の詳細を知りません。それが実態です」ともペドロ校長は告白する。これからが本番だというのだ。では、これまでの一連の変化を、一般的な生徒たちはどう見えていたのか。橋本秀磨さん(高3)と山中瑚々奈さん(高2)に聞いた。

橋本 翌年度から服装も髪型も自由だと、昨年度末に聞いたときには、びっくりしました。最初は、学校の秩序が乱されるんじゃないかという不安が大きかったです。

おおた 多くの生徒にとっては寝耳に水だったんですね。

橋本 逆におおたさんに聞きたいです。義務教育の範囲外なら制服を着ない学校があってもいいと思いますが、義務教育の範囲内の中学校で、制服を着ないという選択肢はあるのでしょうか? 義務教育って何だろうという話を親ともしてまして。

おおた この社会で生きていくのに最低限知っておいたほうがいい普遍的なことを大人が子どもに教える義務を果たすのが義務教育なんだと思いますけれど、その普遍的なことに、制服は含まれていないんじゃないかと私は思います。でも橋本さんのご家庭では、制服を着ることも義務教育に含まれるという意見なわけですね。

西武学園文理中学・高等学校
西武学園文理中学・高等学校(写真:編集部撮影)

橋本 会社もスーツじゃないですか。それを学ぶための中学校の制服かなと思っています。社会に出たときに正装をしなくちゃいけない。それを学ぶ機会が義務教育からなくなるのはどうなのかなと思います。

おおた 社会に出れば、正装をしなくちゃいけない場面もありますし、制服を着なければいけない職場もあります。必要なときに必要なものを着られるようになるために、毎日学校で制服を着る必要があるかどうかですよね。

女子が私服通学するリスクとは?

山中 私は髪を染めたいとは思わないし、いまでも制服を着ています。校則がなくなった直後に、私、1回見たんですよ。私服を着て登校した生徒が、スクールバスの乗車を断られたんです。校則がなくなったことを運転手さんが知らなくて。説明して、結局は乗せてもらえていましたけど。

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