「ダイエット薬」実はあまり知られてないメリット 生活習慣病の治療パラダイムが変わっていく

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もちろん、糖尿病でない人がセマグルチド治療を受けることで認知症のリスクを低下できるかは不明だ。しかしながら、少なくともリスクを増加させることはないと考えてもよさそうだ。

腎機能低下を予防する効果

糖尿病は、糖尿病性腎症を引き起こし、腎機能を低下させ、慢性腎臓病の原因となる。日本では、腎臓の機能が低下して血液透析治療が必要となる原因の最多は糖尿病だ。

28カ国387施設が参加した臨床試験で、2型糖尿病と慢性腎臓病の両方を患う人3533人がセマグルチド群(1767人)とプラセボ群(1766人)に無作為に割り付け検証したところ、セマグルチド治療群の死亡率はプラセボ群に比べて20%低かった。また腎不全や、腎機能がもとに比べて半分以下に低下すること、腎臓や心血管が原因の死亡、のいずれかの発生率はプラセボに比べて24%低く済んだ。

慢性腎臓病は糖尿病だけでなく、高血圧や高脂血症、肥満などさまざまな生活習慣病に伴って生じる。近頃では腎機能が低下した人は短命であることがわかっている。2012年のカナダでの研究では、40歳の男女の平均余命を調べたところ、推算糸球体濾過率(eGFR)の低下に伴って余命が短くなることがわかった。糸球体濾過率は腎機能の指標で、若くて健康な腎臓を持つ人では100mL/分/1.73㎡だ。

「eGFRの低下に伴って余命が短くなる」
(画像:Nephrology Dialysis Transplantation「Chronic kidney disease and life expectancy」を基に筆者作成)
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