「ダイエット薬」実はあまり知られてないメリット 生活習慣病の治療パラダイムが変わっていく

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セマグルチド治療が、糖尿病以外の原因による慢性腎臓病を予防できるかは未知だ。もし予防できるならば、健康上の意義は大きく、今後の研究が待たれる。

睡眠時無呼吸症候群が改善する

睡眠時無呼吸症候群(OSAS)は、寝ている間に舌が気道を塞ぎ、呼吸ができなくなることで睡眠の質が低下する。睡眠不足となり日中の眠気を催すだけでなく、高血圧や糖尿病、心血管病のリスクが上昇する。10秒以上呼吸できない状態を無呼吸とし、1時間あたりの無呼吸や低呼吸の回数を無呼吸低呼吸指数「Apnea-Hypopnea Index(AHI)」と呼び、5回未満が正常で、それ以上が軽症、15回以上が中等症、30回以上が重症に分類される。

私の外来ではOSAS検査と治療をおこなっているが、中にはAHIが60や70というような超重症の方もいる。持続陽圧呼吸「Continuous Positive Airway Pressure (CPAP)」という呼吸をアシストする機械を装着して寝るのだが、治療開始してから「ドーピングみたい」に体が楽になったと喜ばれることが多い。日本では中等症以上のOSASの患者は900万人いると推定されており、そのうち治療を受けているのは90万人ほどであり、多くの人が適切な診断や治療を受けていない。

肥満はOSASの大きなリスク因子であり、日本人での研究によると、OSASの人はBMIが26程度であり、OSASのない人が約22であることと比較すると、体重の多い人がなりやすいと言える。肥満を改善するとOSASは改善するが、GLP-1作動薬はどの程度有効なのか?

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