南果歩が語る「読み聞かせ」の力と被災地への想い 誰もが「日々物語を求めている」 被災地も同じ

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動画の読み聞かせチャンネルの検討、海外での読み聞かせ活動に加え、南さんは現在絵本の次回作も構想中だという。活動の幅を広げ、進化する南さんの読み聞かせは、この先きっと、より多くの人、より多様な人の笑顔につながっていくだろう。

「できること」で被災地と関わりを

最後に、実際に能登を訪れ、現地の方々と対話されたうえで、いま被災地に対して思うことを南さんに聞いた。

「今回は震災後初めて能登に行って、街中の瓦礫の撤去もスタートできていないことに愕然としました。

東日本大震災のときは、現地に行くたびにトラックが街中を走っていたり、撤去物を廃棄するごみ置き場がいたるところにできていたり、どんどん街の姿が変わっていくっていくのを目の当たりにしてきましたから。

能登半島の立地が厳しいのも理解できますが、それにしても復興はまだまだだと痛感させられました」

そんな状況を前に、まずは、知ることから始まると南さんは言う。

「能登とそれ以外の地域では、温度差があるように感じます。震災が発生してから半年以上が経ち、東京にいると、意識しない限り時折しか能登のニュースが入ってきません。

でも、能登に行くと、毎日現地のニュースに接するわけです。人間って普段見聞きしていないことはどんどん風化させていってしまいます。ですから、まずは被災地の今を知ろうとすることが第一歩になると思います」

南果歩さん
南さんは読み聞かせの活動をさらに広げようとしている(撮影:今井康一)

そして、1人ひとりが自分にできる範囲でいいので、少しでも現地との関わりを持つことが重要だと南さんは続ける。

「能登はまだ、復興のスタート地点にも立てていない状況だと感じました。ですから、何かお手伝いできることがあったらする。寄付できる人は寄付をする。何もできなくても、近くまで行って生の情報に触れてみる。

近くに行くと何らか現地の影響が残っていて、行かないとわからないことを感じ取ることができると思うんです。今回私は有永浩太さんのガラス工房や赤木明登さんの漆工房にうかがいましたが、そうした工芸品を手にとってみるとか、いろいろな応援の方法があると思います。

能登に行って帰ってきたら、周りの人たちに『能登に行ってきたの?』と聞かれて話題になりますよね。そうやって、関わりを波及していくことが大切だと思っています」

南さんの活動が、この記事になった。この記事が、読んでくださった方の能登との関わりを考えるきっかけになる。そんな関わりの連鎖で、復興が前進することを願っている。

【写真】南果歩さん、被災地での読み聞かせの様子やインタビューを受ける様子など(6枚)
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川下 和彦 クリエイティブディレクター/習慣化エバンジェリスト

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かわした かずひこ / Kazuhiko Kawasita

2000年、慶應義塾大学大学院修士課程終了後、総合広告会社に入社。マーケティング、PR、広告制作など、多岐にわたるクリエイティブ業務を経験。2017年春より、新しい事業を創造し、成長させることを標榜するスタートアップ・スタジオに兼務出向。広告クリエイティブに留まらず、イノベーション創出に取り組んでいる。著書に『コネ持ち父さん コネなし父さん』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『ざんねんな努力』(アスコム)などがある。(撮影:原貴彦)

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