「半世紀ぶり有人月面着陸」日米は何を目指すのか 動き出した「アルテミス計画」とはいったい何か
さらに、第12部では「ミッション計画立案過程の一環として、軌道上デブリの低減に向けた計画を誓約する」と宇宙デブリ問題にも言及しています。アルテミス計画への署名国はその後増加し、2024年5月時点で42カ国になっています。
火星に行く場合、月面から打ち上げるほうが効率的
アルテミス計画の目標は2025年以降に人類を月面に送るとともに、月周回の有人拠点である「ゲートウェイ」を構築し、物資輸送や月面基地の建設、持続的な月面活動を実現することです。有人着陸船の開発も進められています。
月面活動では、月の南極付近に氷の状態で存在するとみられる水資源の探査、鉱物資源の探査をします。月面で水を水素と酸素に電気分解することにより、ロケット燃料を自給できます。
火星に行く場合、地球からロケットを打ち上げるよりも、重力が6分の1の月面から打ち上げるほうがずっと効率的です。月に存在する鉄やアルミニウムなどの鉱物は月面基地を築く材料になります。
NASAは2021年、月着陸船の開発・運用に、SpaceXを選定しました。2022年11月、「アルテミスⅠ」として、SLS(Space Launch System)ロケット打ち上げと、米ロッキード・マーティン社が開発した無人宇宙船「オリオン」の試験飛行が実施されました。オリオンは月面から約100㎞まで近づき、月周回軌道を飛行した後、地球に帰還しました。
2023年5月、NASAはアルテミスⅤの月着陸船の開発についてBlue Originと契約したと発表しました。現時点で発表されているアルテミスⅡ以降のタイムラインは以下のようになっています。
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