「日本化」する世界経済 生産人口、技術進歩に制約 低成長、デフレを前提に考える

以上のような動きは、帝国主義(グローバリゼーション)への反動からブロック経済化が進み、二つの大戦につながった20世紀初頭の空気にとても似ているのではないか。

TPP(環太平洋経済連携協定)などFTA(自由貿易協定)も、その名称とは裏腹に、特定の仲間内でのブロック経済化への動きであり、間違えば紛争の契機となる。

日本はフロントランナー

昨年夏、バーナンキFRB(米連邦準備制度理事会)議長は米国がデフレに陥るリスクを懸念し、「日本化」がキーワードになった。今年は、英『エコノミスト』誌がオバマ米大統領やメルケル独首相の政治的な決断力のなさを「日本化」と評した。

金融政策や財政政策で「日本化」を防ぐべきと考える人は多い。しかし、早稲田大学の岩村充教授は「ニクソンショック後のインフレ率を見ると、日米欧とも同じような下落傾向をたどっている」と指摘する。米欧のインフレ率は日本よりも2%ほど高いが趨勢は同じで、日本だけがデフレに陥っているというよりも、日本が先行している可能性が高い。

「金融政策とは、実物的な財そのものの利子率である自然利子率(実質均衡金利)を基準に、問題を先送りしたり先取りしたりするものにすぎない。借りてくる先の未来が豊かでなければ効果を発揮しない」と岩村教授は言う。経済成長は労働人口の動向と技術革新で決まる。財政政策も金融政策も価値を生むわけではなく、景気循環をならす効果しかない。

岩村教授は著書『貨幣進化論』の中で、現代の「通貨制度は成長とインフレを前提にしている」とし、かつ成長とインフレは「人類の長い歴史の中で見れば、技術革新によって、人口についてのマルサス的な制約から解放された19世紀以降のごく最近の現象にすぎない」として、マイナス金利を可能にする通貨制度を考える必要性を主張している。

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