「日本化」する世界経済 生産人口、技術進歩に制約 低成長、デフレを前提に考える

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バークレイズ・キャピタル証券は最近「日本から見た『日本化』」という研究テーマを設定した。人口動態を背景に、欧米経済は日本経済を15年程度遅れて追っているという問題意識で、共通項と違いを検討する。

生産年齢人口比率では日本が90年代半ばをピークに急落していくが、米欧も10年以降は下落に転じる。世界経済を牽引してきた新興国は、中国、韓国、ロシアが10~15年をピークに減少していく。

豊かになった社会では人口減少が自然の成り行きだ。子ども手当で人口を増やそうというのは無駄な抵抗だし、産業革命以降の19世紀に進んだ技術の進歩も一定の限界に来ているとすれば、むしろ人口増加が収まらないと、マルサスが指摘した制約が復活し、持続可能でなくなる。すでに気候変動による大災害が多発し、事故を起こせば影響の大きい原発に依存していることから、拡大が限界に来ていることをわれわれは実感している。人口70億の世界が4%成長を続けることは考えにくい。

不均衡と不平等の拡大に歯止めをかけ、1人当たりGDPを維持できればよい。そうした発想で、国際社会が新たな枠組みを見いだすしか解決策はないのではないか。

(シニアライター:大崎明子 週刊東洋経済2011年10月1日号)

※記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
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