2014年度の北朝鮮経済は「1%成長」だった?

金正恩政権が本格化して以降は成長幅縮小

これらの成長率を勘案して韓国銀行がはじきだした北朝鮮の産業構造を見ると、農林水産業が21.8%、製造業21.3%、鉱業が13.1%、サービス業が31.3%となっている。また、建設業は8.2%、電気ガス水道は4.3%と、従来の産業構造から大きく変わっていない。農業生産が少しでも良くなれば北朝鮮の国内総生産に与える影響は大きく、また農業と重化学工業中心の経済構造はそのままだ。

韓国銀行はまた、北朝鮮の国民総所得(名目GNI)について34.2兆ウォンとし、韓国の44分の1規模としている。1人当たりGNIは138.8万ウォンで、これも韓国の21分の1規模と推算している。米ドル換算では1200ドル、日本円で14万8300円程度だ。

北朝鮮貿易規模を見ると76.1億ドル(約9435億円)、前年より2.7億ドル増加している。ただし、これは韓国との貿易額を除いて計算されたものだ。輸出は31.6億ドル(約3918億円)で前年比1.7%減、輸入は44.5億ドル(約5517億円)で同7.8%増となった。鉱物関連の輸出が大きく減少(17.1%減)となった一方で、機械や繊維の輸入が増加している。

厳密さ欠く韓国の北朝鮮統計

ただ、韓国銀行など韓国側から出てくる北朝鮮関連の統計を見るには注意が必要だ。今回の統計で韓国銀行も留意事項として表示しているが、経済成長率や産業構造、名目GNI、1人当たりGNIなどに関する指標は、韓国側が集めた原データを韓国での価格や付加価値などをそのまま適用して算出している。SNA(国民経済計算)などの国際的に通用するデータとしてみるには不十分、ということだ。

これには、情報機関である国家情報院など対北朝鮮関連機関がさまざまな情報を集めてきたデータを基に、韓国のそれぞれの機関が産出して発表している。この発表までの過程には、「時の政権や政府機関のバイアスも込められているのが実状」(韓国大手紙の北朝鮮担当記者)だ。

また、貿易規模も韓国と北朝鮮の南北貿易額は、2014年に23.4億ドルと集計されている。上に上げた貿易総額の約3分の1規模を韓国が担っていることになり、核開発や人道上の問題を理由に経済制裁を継続、あるいは求める声が強いものの、実際には韓国と中国が北朝鮮の経済活動を支えている姿も浮かび上がってくる。ただ、韓国銀行が発表した今回の統計は、北朝鮮内のおおよその産業動向と経済状況がこの程度ということを理解するには有効だろう。

北朝鮮からは、国際比較に耐えうる経済統計を発表していない。2013年9月、朝鮮社会科学院経済研究所の李基成教授が東洋経済とのインタビューで、「2011年の1人当たりGDP(国内総生産)は904ドル、2007~11年までの平均経済成長率は10%程度」と述べたことがある。現在、北朝鮮内では国際的な基準で経済統計を作成・発表しようという動きが見られるものの、実際に発表できるほどの段階ではないようだ。

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