北朝鮮に経済制裁しても体制は崩れない 北朝鮮ビジネス手がけるスイス人が語る真実
――日本だけでなく、欧米メディアの北朝鮮報道で経済・ビジネス関係のニュースが報じられることは少ない。
その通りだ。だからこそ、私はマスメディアがまったく報道しない北朝鮮を紹介した。同時に、“不思議な”国の庶民の生活を紹介しようと努めた。西側メディアの北朝鮮報道は、勘違いに基づいたステレオタイプなものばかりだ。単なる噂に基づいたニュースが多く、実際の現地の状況を正しく見せていない。また、西側メディアは、北朝鮮の人々は『洗脳されたロボット』というイメージを強く持っているようだ。
ビジネススクールで「北朝鮮人企業家」の育成も
――スイスに本社を置く電力・オートメーション技術などの大手のABBグループに勤務し、その代表として北朝鮮に転勤した。平壌の7年間はどのような生活だったか。
人生で最も忙しい時期だった。ABBの仕事だけでなく、さまざまなジョイントベンチャーに参加しており、また自分でもビジネスを立ち上げていた。北朝鮮ビジネスをよく知らない外国人企業家の相談にも乗って、彼らに新たなビジネスチャンスをアドバイスしたこともあった。北朝鮮の銀行システムが海外とはうまくつながっていないため、スーツケースにびっしりと現金を詰めて行き来したことも、当時はたいへんだったが、今ではいい思い出だ。
平壌在住の外国人とともに、北朝鮮では最初の外国人商工会議所を設立した。また、2004年には平壌ビジネススクール(Pyongyang Business School)を立ち上げた。
この学校で、北朝鮮の人が海外の専門家から企業経営などのビジネススキルを学び、同国の工場や企業をより効果的に運営できる方法を学んだ。受講者の中には、起業する人もいたほどだ。彼らからもさまざまなビジネスアイデアも生まれていた。海外企業と互角に競争できるようなビジネスパーソンを育成することが目標だったが、米国などの経済制裁でスポンサーを失って閉校せざるを得なかったのが非常に残念だ。
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