放置された「国民年金の給付水準低すぎる」大問題 就職氷河期世代が退職迎えると大変なことに

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そして、就職氷河期の人々が、これから退職後の時代を迎えることになる。したがってこれに対する措置は、差し迫った課題だ。

基礎年金の給付水準が低いことへの対策として、保険料の納付期間を、現行の40年(20~59歳)から、45年間(20~64歳)に延長する制度改革が提案されていた。

今回の財政検証では、納付期間延長に関するオプション試算が行われている。それによると、期間延長により基礎年金の所得代替率が上昇する。この効果は厚生年金の加入者に対しても及ぶ。具体的にはつぎのとおり。

基礎年金の拠出期間延長のオプション試算

基礎年金の拠出期間を延長した場合には、その分だけ給付が増額され、基礎年金が充実する。2024年度の基礎年金額(年81.6万円)をもとに計算すると、年約10万円の給付増となる。

「③過去30年投影ケース」のもとで、厚生年金の2055年の所得代替率は、57.3%と現状維持の場合の50.4%から6.9%ポイントだけ改善する。

ただし、保険料負担も国庫負担も増える。2024年度の国民年金保険料(月約1.7万円)をもとに計算すると、5年間で約100万円の負担増となる。また、国庫負担も増える。

国民年金の支給開始年齢の引き上げは、対象者に大きな利益をもたらす。

国民年金の加入者の場合には、前項のように保険料が100万円増加するのだが、それと引き換えに給付が増加する。20年間受給すれば保険料増加額の2倍だし、30年間受給すれば3倍だ。

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