放置された「国民年金の給付水準低すぎる」大問題 就職氷河期世代が退職迎えると大変なことに

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しかしこれは問題のある決定だ。財政検証の結果をよく見ると、年金の将来は、決して安心できるものではないからだ。

特に問題なのは、前述のように長期的に安定した給付が続けられるのは、厚生年金の場合であり、しかも、将来の経済成長について楽観的な見通しをした場合に限ったものであることだ。

国民年金の場合には、現在の給付水準も低いし、将来は、経済成長率のいかんによらず、それがさらに悪化すると予測されているのである。

基礎年金の給付水準が低い

この問題を議論するには、まず基礎年金と所得比例年金について説明しておく必要がある。

サラリーマンなどが加入する厚生年金保険においては、基礎年金拠出金を基礎年金勘定に繰り入れる。そして基礎年金と所得比例年金の両方を受給する。それに対して、自営業や農業、漁業などの従事者などが加入する国民年金保険では、基礎年金のみを受給する。

2024年度における基礎年金は、月額6万8000円だ(日本年金機構、令和6年4月分からの年金額等について)。

基礎年金の場合は、保険料も定額なので、経済成長率が高くなったところで、保険料収入が増えるわけではない。

財政検証の結果を見ても、保険料収入は、①「高成長実現ケース」と、②「成長型経済移行・継続ケース」で、2040年までほとんど同じだ。そして、基礎年金の所得代替率が、現在の36.2%からさらに下がることが予測されている。

就職氷河期においては、大企業に就職できず、非正規の就業を続けるといった人が多かった。こうした人たちは必ずしも厚生年金には加入していない。それらの人たちの多くは、これまでも十分な額の貯蓄を行っていないし、また退職金も期待できないと思われる。それに加えて公的年金に期待できないのでは、大きな問題だ。

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