――青木さんはモテそうですが、なぜもっと早くに結婚しなかったのですか。
仕事も趣味も充実していて不自由を感じなかったからです。独身の友だちも多くて、寂しくはなかったですね。結婚という概念が頭にありませんでした。
20代のころはモテませんでした。ただし、札幌で中小企業への飛び込み営業をしていたので、「知らない人と対面して依頼を断られる」ことは怖くなくなった気がします。ムダな自意識や羞恥心が消え去りました。
営業とナンパは似ていると思います。相手の心を開かせて、課題を聞きつつ自分を売り込んで、深いコミットメントを得るわけですから。
本当に行動的になったのは東京に戻ってからの30代です。夜な夜な渋谷のクラブに繰り出したりして、ありとあらゆる方法で女性にアプローチしていました。放蕩の限りを尽くしましたね……。
20代・30代の経験を生かし、女性に関して最も思い通りになったのは40歳を過ぎてからです。ダイビング、ワイン、オペラなどの趣味も増え、女性の話をちゃんと聞くようにもなりました。インターネットツールの発達も追い風でしたね。あるSNSで3ヶ月間で500人の女性にメッセージを送ったところ、150人から返信がありました。
40代の男性は、若い女性のカルチャースクール
――趣味を増やして女性の話をちゃんと聞く、という点をもう少し詳しく教えてください。
40代の男性は若い女性にとってカルチャースクールを兼ねていると思うのです。「一緒にいると成長できる」ことが大きな魅力ですから。
ただし、対面したときに知識をひけらかすのは、やぼです。共通の趣味を通じて会っていることだけで十分で、あとは聞き役に徹するのが得策です。タレントの石田純一さんがなぜモテるかご存知でしょうか。それは「女性の話を聞くこと」で、うなずき以外は何もせず何時間でも相手の話を聴き続けることがよくあるそうです。
普通の男性にはこれができません。私は何百人もの40代男性の恋愛・婚活のコンサルティングをしていて、録音してもらったデート中の会話を分析するサービスを行っています。会話を書き起こすとわかるのは、男性は女性の話をほとんど聞いていない、ということ。オレのほうがすごい、オレのほうが知っている、と自分の能力を誇示しがちなのです。
どんなに博識な人でも、目の前にいる女性が「なぜその分野に興味があるのか」「なぜその考えに至ったのか」については知らないはず。謙虚に無知であることを自覚して相手の話をきっちり聞くことがコミュニケーションの大前提です。
――青木さんご自身の話に戻りますが、「放蕩の限りを尽くしていた」のに40代の終わりになって結婚しようと思ったのはなぜですか。
48歳のときに、久しぶりに実家で正月を過ごしていたときのことです。兄と弟はとっくの昔に結婚していて、子どもは立派な大学生になっています。両親も含めた3家族の団らんの様子をみて「あれ?オレ、今まで何をやっていたんだろう」と自らの半生を振り返ることになったのです。人生の中間決算をする年齢ですからね。
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