日韓双方の「忖度」が生んだ不毛なレーダー照射問題 安倍・文両政権の存在感薄れ「棚上げ」で解決

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日本政府内では、当事者である防衛省が「被害」を強調したが、他の関係省庁が同じ見方をしたとはいえなかった。

音声処理がされていない、撮影されたそのままの当時の映像を見た日本政府関係者は当時、「あれ(無加工の映像)がもし公開されると日本側にまったく非がないとは言えなくなるのではないか」と心配そうに語ったことがある。

やはり映像を見た別の日本政府関係者も「防衛省がしゃかりきになって韓国側を批判しているのが不自然。映像があまりに素早く用意され、すぐ官邸に上がったことに驚いた」と話した。

韓国側でも権力中枢の意向に沿うような行動を嘆く声が出ていた。外交安保部門の韓国政府関係者は問題発生からさほど時間が経っていない段階で、こう語った。

「国防省は火器管制レーダーを照射していないと言っている。ただ、海軍が自分たちも南北融和に努めていることを大統領府などにアピールしたいがあまり、それを邪魔するような哨戒機の行動に強い不快感を抱いたことは否定できない」

安倍・文政権間の正反対の北朝鮮観

両政府の関係者ともに、政治への「忖度」が問題をややこしくしたとの認識を持っていることは間違いないようだった。

それは、当時から外交懸案となっていた慰安婦や徴用工といった過去の植民地支配に起因する問題とともに、それらと並行して進んでいた北朝鮮をめぐる対応で、日韓両首脳の考え方がまったく異なっていたからにほかならない。

レーダー照射問題は、その時期の南北や米朝対話の動きを時系列に重ねると、日韓の深い確執が浮かび上がる。

文在寅政権の高官を務めた1人は「日韓首脳の亀裂が決定的になったのは(2018年の)平昌冬季五輪の時だ」と振り返る。

2018年2月9日。平昌五輪の開会に合わせ、北朝鮮の最高指導者である金正恩総書記は妹の金与正氏らを韓国に送った。アメリカからはペンス副大統領(当時)が参加。安倍首相も駆けつけた。

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