「アニメ頼りの日本映画」がアジアで直面した現実 アジア最大規模のジャンル映画祭で見えた課題
独立系の若いプロデューサーはすでに足場を海外に踏み出している。
本映画祭の現地滞在プロデューサー養成プログラムに参加した古山知美プロデューサーは「私はインディペンデント映画を製作していますが、たとえ日本で作品性が認められなかったり、興行が成功しなかったりしても、世界には日本のインディペンデント映画を求めている人がたくさんいます。世界に出て視野を広く持てば、需要に気づけるはず」と力を込める。
本映画祭の企画ピッチングでは、そんなインディペンデントの若い世代と、大手映画会社の東映がアワードを受賞した。
いままさに世界に出ようとする日本映画界の両極がともに評価を得たことには意義がある。両者の制作手法は違ったとしても、そこには確固たる日本映画の企画力や作品力があることが示された。
アジア各国は日本との共同制作に強い関心
アジア全体のなかで、国際マーケットには出遅れているかもしれないが、日本には黒澤明監督や小津安二郎監督の時代からの映画産業としての蓄積と歴史があり、アジアからリスペクトを受けている。
加えて、ポストプロダクションの技術や先鋭的なクリエイティブのクオリティをはじめとした映画を作る機能、人的リソースといった産業ベースで見れば、日本はアジア随一と言っても過言ではないだろう。
長年国内向けに重きを置いてきた日本映画だが、海外進出に向けても、いよいよ本格的な一歩を踏み出した。
実際にアジア各国は日本との共同製作に対して強い関心を示している。本映画祭は、そんな空気を肌で感じることができた場だった。
今年10月に開催されるアジア最大の映画祭『第29回釜山国際映画祭』では、映画先進国であるヨーロッパの国々も参加する国際合作をテーマにしたシンポジウムが開催されるほか、日本から世界中のプロフェッショナルが集まる企画マーケットへの参加に向けて調整が進められている。今回のプチョン映画祭での実績を携えた日本映画界が、もうワンステップ先へ踏み出す場になることだろう。
日本だけではもはや映画ビジネスは成り立たない。アジアとの共同製作や出資参加、そして国内に加えてアジアで売ることを前提にした作品作りに入っていかなくては生き残れない。そのためのネットワーク作りとともに、国際共同製作を日本映画界のデフォルトにするための足場作りは着々と進められつつある。
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