「アニメ頼りの日本映画」がアジアで直面した現実 アジア最大規模のジャンル映画祭で見えた課題
表彰式後に髙橋プロデューサーは「まだ脚本の前の企画の段階ですが、いろいろな国とどのくらいの金額を出せるかなど、具体的な道筋をつけられたのは大きな収穫です。これからの企画開発をより進めていけます」と手応えをにじませる。
もう1組の日本からの受賞者は、独立系の藤田可南子プロデューサーと村上リ子監督によるユニット『Push-button Syndrome』。映画祭の主要賞の1つであり、アジアの最優秀新人企画に送られるアジアン・ディスカバリー・アワードを受賞した。先鋭的な企画内容とともに小道具まで用意したトリッキーなピッチングで、参加者を魅了した。
村上監督は「ミーティングを重ねるに連れて、企画をより深く掘り下げ、ブラッシュアップすることができました」と3日間のピッチングと個別ミーティングを振り返る。
参加国からの貴重な意見も
また、ビジネスミーティングに関して、藤田プロデューサーは「韓国や台湾、東南アジアのいろいろな国のポスプロ会社(注:撮影後の編集作業を行うスタジオや制作会社)やパブリックファンドから興味を持ってもらえました。この企画なら、この国の、この会社にアプローチするといい、などのアドバイスももらえたので、これからどんどん話をしていきたいです」と意気込んだ。
受賞は逃したものの、カルチュア・エンタテインメントの小室直子プロデューサーによる企画『Anthurium in the Dark Night』も、ハイコンセプトで実験的な企画ながら、広く関心を集めていた。
小室プロデューサーは「今回はリサーチ的な側面があり、リアクションによって内容を調整していきます。日本固有の文化でないと作れない作品ではないので、一緒に作ろうというパートナーを探していきます」とこの先を見据えた。
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