フェイスブックは「人間関係のOS」になった プラットフォームが巨大なパワーを持つ

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──超国家的プラットフォームの運営者とユーザーは、どう向き合っていくべきでしょうか?グーグルは欧州委員会から独占禁止法違反の嫌疑をかけられています

「ディープ・オプティミスティック」と呼んでいますが、深く楽観的な態度でいることが欠かせません。それはグーグルのような巨大プラットフォームにとどまらず、急速な勢いで伸びている日常領域にかかわるシェアリングエコノミーについても、同じことが当てはまります。

たとえば個人間の宿泊予約サイト「Airbnb(エアビーアンドビー)」やタクシー配車アプリ「UBER(ウーバー)」などは利便性が高い一方、Airbnbは旅館業法、UBERは道路運送法に触れるケースが出てきています。プラットフォームは時に混乱を生みながら、世界や社会をよい方向へ変える可能性を秘めている。ユーザーは、短期的にプラットフォーム運営者が個々の問題にどう対処するかを見極め、長期的に可能性を信じて向き合うべきです。

営業主導型が目立つ日本のネットサービス

──適切な距離が必要であると。ところで、プラットフォーム運営者の名前に日本企業が出てこないのは、やや寂しくありませんか。

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そんなことはありません。私が在籍したリクルートや楽天も、対法人で強いプラットフォームを持っています。特にリクルートは結婚情報誌『ゼクシィ』をはじめユーザーが増えれば法人顧客が増え、さらにユーザーが増えるという循環を築いています。人間の編集・営業スキルが介在することにより、「儲かり続ける」だけでなく「さらに儲かり続ける」ことを可能にしているのです。

ただ日本には言語の壁があり、国内向けの営業主導型サービスが目立ちます。そこには教育から見直すくらいの深い課題があります。日本から超国家的プラットフォームを生み出すには、LINEのスタンプに象徴される、非言語など日本固有の強みで勝負することが重要だと思います。

二階堂 遼馬 東洋経済 記者

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にかいどう りょうま / Ryoma Nikaido

解説部記者。米国を中心にマクロの政治・経済をカバー。2008年東洋経済新報社入社。化学、外食、ネット業界担当記者と週刊東洋経済編集部を経て現職。週刊東洋経済編集部では産業特集を中心に担当。

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