MM総研によると、10年度の日本のスマートフォン出荷台数は855万である。上述の数字と比較すると、世界に占めるシェアは2・88%ということになる。
GDPでは、09年世界約58兆ドルのうち日本は約5兆ドルで、シェアは8・68%だ。それと比べると、スマートフォンが3%未満というのは、日本がクラウドの潮流から取り残されていることを明確に示している。
これは、われわれの日常的観察とも一致する。先日ある新聞で、「これまでの携帯電話のほうが便利」という読者の声が目についた。そう考えてしまうのも無理はない。スマートフォンは、Gメールなどのウェブメールやウェブカレンダーを使っていた人には生活が一変するほどの変化をもたらすが、そうでないと「ただの箱」になりかねないのである。
「スマートフォンって、何のための機械?」というのは、日本ではごく当たり前の質問だ。前々回、「アップルの成長は、アメリカが近視眼的になっている証拠だ」という意見を紹介したが、こうした意見の人もスマートフォンをそう考えているに違いない。