(第15回)クラウド大戦争が縁遠い日本の風景


 スマートフォン全体では、10年第4四半期には出荷台数が前年同期比較87・2%増となって1億を超え、PCの9200万を上回った。10年通年では、ほぼ3億となった。これは先進国総人口の3分の1に相当する。11年第2四半期の出荷は1・1億台となっている。日本人の常識では理解できない現象が、いま起きているのだ。
クラウドでの覇権争い

上述の状況を見て、しばしば「PCからスマートフォンへ」と言われる。二つは機能が異なるので、スマートフォンがPCを代替するとは思わないが、大きな変化が生じていることは間違いない。スマートフォンはクラウドの出入り口としての役割を果たしている。その意味で、1対1の通話が基本だった携帯電話とは基本的に異なる機器だ。そして、PCと共同で新しい世界を切り開く。

こうした可能性を背景に、新しい世界での覇権を求め激烈な競争が繰り広げられている。これは競争というよりは、「戦争」と表現すべきものだろう。

グーグルがアンドロイドという新しいOSを開発し公開したため、これを用いるスマートフォンが増大している。サムスンのギャラクシー(Galaxy)が発売され、日本のメーカーも相次いで参入した。したがって、この分野でアップルがいつまでも現在の地位を維持できるわけではない。

これまでも、ITの世界では次々にトップが変わってきた。

最初に個人向けPCを開発したのはアップルコンピュータ(当時の社名)だったが、その後、OSではマイクロソフトのウィンドウズが覇権を握った。アップルは一部のユーザーからは信仰に近い支持を得たが、少数派にとどまった。

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