ギリシャの有望ベンチャーが死滅しつつある

経済危機により「国外脱出」が活発化

7月17日、アテネの国会議事堂ビルは火炎瓶の煙に包まれた。同国における数多くのスタートアップ企業は今、きわめて厳しい環境に追い込まれている( REUTERS/Alkis Konstantinidis)

[7月16日 (ロイター) アテネ] - ギリシャのスタートアップ企業が生まれる場所、シェアオフィススペースを提供する「ザ・キューブ」に足を踏み入れると、そこはまるで米国のシリコンバレーの縮図のような空間が広がっている。ビル9階分のスペースに、30社のスタートアップ企業、15人のフリーランサーが入居しており、ギリシャでも最大のシェアオフィス・スペースだ。

掲示板には、ハッカソンや技能向上ワークショップのお知らせが所狭しと貼られている。6年に及ぶ財政危機の中にあって、ザ・キューブから生まれようとしているイノベーションや新企業は、スタートアップ設立者たちの力強さを誇示する存在となっている。

ウェブホスティング会社への支払いができない!

しかし、そのスタートアップでさえ、ここ数週間はこれまで経験したことがない大変な状況に直面している。ギリシャ国外への資本の流出を食い止めることを目的に、6月29日から実施されている資本規制によって、ギリシャ企業は国外のサプライヤー、ウェブホスティング会社、インターネット・プロバイダーへの支払いができずにいるのだ。

銀行はいまだ閉鎖されたまま、国民はATMからの1日あたりの引き出し限度額が60ユーロに制限され、外国の投資家や顧客は国外へ脱出し、全ての規模のビジネスが打撃を受けている。

過去数年間であらゆる障害を乗り越えてきたスタートアップ企業も、この先もギリシャに将来性を期待してもいいかどうかの再考を迫られている。最近の経済危機と政治危機により、ギリシャ経済の先行きを担うべき若者たちの多くは、国を逃げ出してしまうかもしれない。

ザ・キューブの創立者で起業家のスタヴロス・メッシニス氏のもとには先週、1時間のうちに3人のスタートアップ起業家たちが、家賃、従業員の給料、請求書の支払いに関する相談に訪れていた。「ずいぶんと時間を無駄にしているでしょうね」。相談者が帰った後、メッシニス氏はそう漏らした。「先週は、こんなことのために80%もの時間を費やしてしまいましたよ」。

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