ギリシャ危機、支援実施には3つの壁がある 改革関連法案可決でも危機は終わらない
ギリシャ議会は7月16日未明までずれ込んだ採決で、債権者側から法制化を要求された改革関連法案を賛成多数で可決した。与党議員の一部が反対票を投じたものの、親欧州派の野党が協力したことで、賛成票が229、反対票64となり、賛成票が大きく上回った。5日の国民投票でギリシャ国民が受け入れを拒否した緊縮策よりも一段と厳しい要求を突きつけられたが、ユーロ離脱と銀行システム崩壊を回避するには債権者側の要求を呑む以外にはなかった。
ギリシャ議会が支援協議の正式再開にあたって要求された改革案の法制化を終えたことを受け、今後は週内にドイツやフィンランドなど一部の債権国で事前の議会承認をしたうえで、週末にかけてユーロ圏財務相会合(ユーログループ)を開き、第三次支援協議の開始を正式承認する可能性が高まった。
国内世論の反発やギリシャへの不信感の高まりを背景に、一部債権国の議会承認の行方が不安視されるが、ギリシャ議会が約束通りに法案を通したことで、否決される可能性は低いだろう。ただ、ギリシャ支援が軌道に乗るためには、乗り越えなければならないハードルが年内に少なくとも3つある。
ECBへの償還のためつなぎ資金を得られるか
第1のハードルは、7月20日のECB(欧州中央銀行)が保有する国債の償還原資とするつなぎ資金をどう捻出するかだ。
週末の財務相会合で支援協議の再開を承認したとしても、融資の実行までには最短で4週間程度かかる。当面の返済資金を確保するために、つなぎ資金の手当てが必要となる。
国債の償還ができない場合、ECBはギリシャの銀行に対する緊急流動性支援(ELA)を打ち切る恐れがある。そうなれば、三次支援プログラムが始動する前に銀行破綻が続出し、金融システムに壊滅的な打撃が及ぶことは避けられない。必要なつなぎ資金の規模は、IMF(国際通貨基金)への延滞分やECB保有国債の償還などで7月20日までに70億ユーロ程度、8月中旬までにさらに50億ユーロ程度と目されている。
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