子どもの「やばい」「えぐい」の多用で失われるもの 「言い換える力」強化のため親にできることとは
教育の現場でも社会生活でも、今はコミュニケーション能力が強く求められます。ものごとの意味を説明するときに適切な言葉が使える、あるいは自分の感情を正しく伝えられるのは、とても重要な能力です。
どんな言葉を口にするのかによって、伝わる意味や深さは変わります。何かを見て「これはやばいねえ」の一言ですませたのでは、ひどいものを見ているのか素晴らしいものを見ているのかもわからない。語彙力がないと、繊細な意味を伝えられないのです。
貧しい語彙力しかないのは、たとえてみれば3色のクレヨンで絵を描こうとするようなこと。手持ちの色が少なければ、微妙な部分が表現できません。
12色のクレヨンで描いている人にはかなわないし、24色のクレヨンで描いている人にはもっとかなわない。仕上がった絵の出来だって、当然ながら見劣りするでしょう。
言葉は「考えを深めるツール」
人は言葉を得ることで、何らかの概念や感情を「見える化」しています。言葉を知らないということは、複雑なことがらを理解したり、ものごとを掘り下げて考えたりするためのツールを持たないということでもあるのです。
日本語として成立した時期には諸説ありますが、「哲学」「理想」「社会」「自由」などは明治時代に作られた言葉だとされています。
「哲学」という言葉ができる前は、何かモヤモヤと考えていることはあっても、それを表す言葉がありませんでした。そのため「哲学」という概念を持つこともなかったわけです。
ボールを打って守ってというゲームが「野球」と名付けられたのも明治時代です。それ以前の日本人は野球を楽しむどころか、その存在すら知らなかったでしょう。
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