中国で高まるブランド信仰、「ステータス」を欲する消費者心理を反映
■対中ビジネスは「攻撃的かつ慎重に」
--海外企業が中国でビジネスを展開するのは難しい面もあると聞きます。たとえば、仏ダノンと合弁相手の地元飲料メーカー、ワハハの間では、商標をめぐって紛争が起きました。中国でのビジネス展開をもくろむ企業の意欲をそぐ可能性はありませんか。
ダノンのケースはよく知っています。中国で『チャイナズ・マネージメント・レボリューション(CHINA’S MANAGEMENT REVOLUTION)』という著作を書いたとき、ワハハの経営者にインタビューしたことがあります。彼には娘が1人います。彼女は米国で暮らし、勉強してMBA(経営学修士)を取得しました。ダノンとのトラブルがあった後、父親と一緒に経営を行うため、中国へ戻ってきました。
ところが、彼はインタビューでこう言いました。「娘はワハハでこれまでに見たことのない最低のマネジャーだ」と……。彼女は西洋文化の影響を受けて中国へ戻ってきました。ビジネススクール流の経営学を身に付けてきたのです。
海外グループにとって重要なのは地元に溶け込もうとすること、「普遍」のものを理解し、文明を理解することです。それは日本で海外企業がビジネスを展開する場合も同じです。日本でうまくいっている外国企業は日本に順応し、文化を理解することに成功している。そうでなければ、決して成功を収めることはできません。
--仏大手スーパーのカルフールは中国で成功しているが、日本では失敗しました。
中国では競争力のある価格で消費者に買い物できる機会を提供することができました。開店の許可をもらうため、中央ではなく地方の行政に接近するという戦略も奏功しました。