中国で高まるブランド信仰、「ステータス」を欲する消費者心理を反映
--中国は地域に応じて所得水準などが大きく異なっています。そうした中でどのような戦略が有効なのでしょうか。
難しい質問ですね。中国には3つの複雑な側面があります。1つ目は地理上の問題。省だけでなく、特別区もあります。2つ目はチャネル。問屋、フランチャイズなどが多数存在し、その戦略も極めて複雑です。3つ目はどのような消費者がどのようなタイプの製品を欲するかという点です。
3つの次元を交差させようとすれば、ジグソーパズルのような組み合わせになる。100組の製品を売る際に、100の消費者、100のチャネルが存在しています。われわれの仕事はそれを単純化することです。
--日本企業はそうした複雑さを理解していますか。
わかっていると思います。現在、世界のあらゆる事象が極めて複雑化しています。中国で成功する企業は複雑さを受け入れつつ、単純に行動できるところでしょう。
黒という色は白か灰色かもしれません。不確かであいまい、かつ変動が大きい。中国は複雑な世界です。でも、決断は急がなければなりません。多くのヒエラルキーが存在し、物事を進めるプロセスも長い。だからこそ、迅速な決断が求められているのです。中国でビジネスを展開する日本企業は複雑さと単純さの間に位置する「あいまいさ」を受け入れなければなりません。対中ビジネスは「攻撃的かつ慎重に」。これが私の哲学です。
Charles-Edouard Bouée
ローランド・ベルガーのフランス・パリオフィスで金融案件のプロジェクトを多く手掛け、2006年に中国の代表に就任。アジアパシフィックの統括責任者も兼務。在中国EU(欧州連合)商工会議所のボードメンバーにも名を連ね、企業経営のアドバイスなどを行う。ブルームバーグやCNBCのコメンテーターも務める。
(聞き手:松崎 泰弘 撮影:梅谷 秀司 =東洋経済オンライン)
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