中国で高まるブランド信仰、「ステータス」を欲する消費者心理を反映
しかし、日本では撤退を余儀なくされました。おそらく、「フォーマット」の問題があったのでしょう。日本人はコンビニで買い物をする傾向が強く、必ずしも郊外へ買い物に行く必要がありません。
ただ、カルフールも今日では「フォーマット」の見直しに取り組んでおり、オンラインショッピングなどを通して消費者や農家へより近づこうとしています。それらはフォーマットにも影響を与えているのです。
小さな都市に住む消費者も今ではインターネットで買い物をするようになりました。買い物にクルマを使ったりしなくなった。それに合わせて「フォーマット」を変えなくてはならない。グローバル化の進展で商品の価格も値下がりしています。カルフールは中国西部では成功しましたが、米ウォルマートというアグレッシブな競争相手の出現で、状況は厳しくなりました。
--中国で厳しい競争をするだけの体力が日本企業にはなくなってきたようにも思えます。それを考えると、もともとつながりの深い東南アジア諸国でのビジネス展開を優先させるのも1つの考え方ではないでしょうか。
確かに、東南アジアはとても魅力的な地域です。3億人が住み、ダイナミックな市場があります。ただ、マーケット自体は細分化されているうえ、エッジが立っている。すべての国が異なる顔を持っているのです。
だから、日本企業にとっては戦略がとても大事です。マーケットシェア確保を急ぐべきでしょう。同時に、中国市場の存在も忘れてはいけません。中国を理解しなければ他へアタックすることもできない。
東南アジア各国では中国系の強力なビジネス社会が形成されています。それが反中感情を生み出している面もありますが、各国が中国系のネットワークに頼っているのも事実です。ビジネス面で中国人はとても強力な存在です。インドネシア、マレーシア、シンガポールなどの市場で中国企業は一定の支配力を有している。それを軽視することはできません。