「犬吸い」「猫吸い」は愛情表現だと考える人の盲点 専門家が「おすすめできない」と話す理由とは

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環境省の「人と動物の共通感染症に関するガイドライン」によると、動物由来感染症は世界で800種あり、このうち日本で問題になっているのは数十種類という。

動物由来感染症に詳しい北海道大学の苅和宏明教授(大学院獣医学研究院衛生学分野公衆衛生学教室)は、「犬や猫の体に鼻先をうずめて息を吸う行為は、すなわちペットの分泌物を飼い主の鼻の粘膜に入れるということ。病原体が飼い主の粘膜に入る危険性があるので、おすすめできません」と警告する。

苅和さんが特に気をつけたほうがいいと挙げるのは、「皮膚糸状菌症」「パスツレラ症」「猫ひっかき病」「回虫症」「トキソプラズマ症」の5つの病気だ。

5つの感染症の原因ときっかけ

■皮膚糸状菌症

皮膚糸状菌症は、皮膚糸状菌という真菌(カビ)が原因の感染症だ。感染した犬や猫、ウサギ、ハムスターなどに触れるだけでうつる可能性があり、特に梅雨や夏の季節に多いという。

感染すると患部にかゆみをともなった、丸い輪のような発疹が出るほか、頭に感染するとフケが出たり、髪が円形に抜けたりする。人が発症したときは皮膚科で抗真菌薬の塗り薬や飲み薬による治療を行う。

■パスツレラ症

パスツレラ症は、犬や猫などの口の中に主に生息するパスツレラ菌が原因。犬や猫にかまれたり、引っかかれたりすることで感染する。

「犬吸いや猫吸いで感染する病気ではありませんが、これらの行為は犬や猫にしてみると、ストレスになっていることもありうる。スキンシップを嫌がった犬や猫にかまれたり、引っかかれたりすることで感染することが心配される」と苅和さんは言う。エサを口移しで食べさせたり、顔をなめさせたりすることで、感染することも考えられるという。

パスツレラ症は、傷ができてから急速に腫れや痛みなどの症状が出るのが特徴。重症化して敗血症(菌が全身をめぐり、さまざまな症状を起こす状態)を発症することもあるため、傷口が腫れてきたらすぐに医療機関を受診することが大切だ。

■猫ひっかき病

猫ひっかき病はバルトネラ菌という菌で生じる感染症。

人が犬や猫にかまれたり、引っかかれたりすることで、犬や猫の口の中にいるバルトネラ菌に感染して発症する。気づかないまま自然に治るケースが多いが、まれに発熱や頭痛、倦怠感、リンパ節の腫れなどが数カ月間続くこともある。

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