「臭い」の言葉にも負けず、「し尿収集」職員の奮闘 「災害時のトイレ対策のスペシャリスト」になる

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東大阪市は大阪平野の東端にあり、「中小企業のまち」「ラグビーのまち」として知られている。都市化された地域であるが、生駒山には岩盤が硬く下水道が敷設できない地区が存在する。

その地区の世帯や、借家の大家が下水道への接続を見合わせている世帯が約1300も存在する。

これらの世帯や工事現場等に設置された仮設トイレのし尿収集を担っているのが、2012年に東大阪市が100%出資した外郭団体・公益財団法人東大阪市公園環境協会(以下、協会)である。7台のバキュームカーを駆使して、約1300世帯のし尿を月2回収集している。

公園環境協会の事業所に並ぶバキュームカー
公園環境協会の事業所に並ぶバキュームカー(写真:筆者撮影)

し尿収集は汚れが伴う作業である。その汚れはし尿ではなく、むしろ家屋の裏までホースを伸ばしていく際につく土や泥によるものだ。もしし尿が付着してしまった場合はすぐに事業所に戻って着替える。

実際のところ過酷なのは臭いではなく、夏場に発生するハチだという。家屋の裏側で収集作業をしていると、アシナガバチやスズメバチに刺されてしまう作業員もいる。

過酷で難しい作業

作業は3人体制で行われる。これは詰まった汚物が吸い込まれ始める際にホースが暴れる(「走る」)ときもあるため、人にあたったり周辺の器物を損壊させたりしないように、足で踏みつけてしっかりと固定する必要があるからだ。

汲み取りを始める前に、ホースの位置を決める
汲み取りを始める前に、ホースの位置を決める(写真:筆者撮影)

3人は多いと思うかもしれないが、安全作業で細やかな配慮を施しながら収集するためには必要な人員だ。

実際、ホースは重くて硬く、思うように取り扱えない。手元が狂うとホースに残る汚物が飛び散り、周囲を汚してしまったり自らも汚れたりする。慎重に便槽の蓋がある箇所まで伸ばしていき、吸引作業へと移っていく。

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