3年ぶり「iPod touch」の意外に重要な役割

iPhoneの影武者は「Android崩し」の尖兵に

ディスプレイが小さいことを除けば、iPhone 6との差分は小さいため、製品本来の”音楽プレーヤー”としてではなく、iOS用アプリを使うためのWiFi専用端末としても魅力的になった。

ハードウェアとしては、より高速でカメラ性能の良いiPod touchということになるが、一方でiOSやiCloudは長足の進歩を遂げている。iOSにはiCloudを通じたFamily Sharing機能が追加され、WiFiを通じてiPhoneやiPad、Macなどで管理する音楽、写真、動画などを家族で実に簡単に共有できるようになっている。

Androidユーザーを引き寄せる役割

より低い年齢層も含め、iOSデバイスに触れ、親しみ、iCloudを通じたメディアのシェアも当たり前に使いこなす。そのような機会をもたらす製品として、まだまだiPod touchは大切なものだ。6月30日に始まったばかりのApple Musicに対応する最新のiPodを提供することで、その認知を音楽ファンに対して拡げることもできる。

また世界的に見れば、グーグルのAndroidを搭載したスマートフォンのシェアはアップルを圧倒的に凌駕している。Androidのスマホを利用するユーザーがiOSを使いたい場合には、「電話機能のないiOS端末」であるiPod touchはきわめて重要な選択肢だ。いったんiOS端末を使用すれば、その魅力に気が付き、次の端末買い替え時にiPhoneを選ぶかもしれないのだ。

さらにいえば、Apple MusicがAndroidに対応するのは、今年の秋だ。Apple Musicに関心があり、秋まで待てないAndroidユーザーにとって、iPod touchは重要な選択肢なのである。

一方でアップルは年末に向け、iPadのラインナップに見直しをかけるようだ。次世代製品の試作が存在していることから、iPad miniが今年も継続されることが間違いなさそうだが(ミニタブレット市場はグローバルで縮小が続いており、低価格端末へとシフトが激しい)、昨年から登場が噂されてきた大型ディスプレイを搭載する新カテゴリのiPadを追加ラインナップさせるだろう。

大型ディスプレイ搭載の新iPadはパソコン離れが明確になっている若年層に対してより高い性能を示し、パソコンに近い生産性を持たせることでWindowsパソコンのユーザーも引き寄せるものになるだろう。

こうしたiPadのラインナップ調整は、iPhoneの能力向上、ディスプレイサイズ拡大、若年層のパソコン離れといった中で、iPadという商品形態のあるべき姿を再定義するものになるはずだ。

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