【産業天気図・アパレル】ウォームビズ需要と震災打撃の反動消費で「晴れ」へ、懸念は年末賞与動向

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11年10月~12年3月 12年4月~12年9月


 アパレル業界は2012年9月まで底堅い景況感が続き、1年通じて「晴れ」となる見通しだ。リーマンショック以来続いてきた低価格志向の揺り戻しが続くほか、節電に伴うウォームビズ需要の拡大も好材料。ただ製造業を中心に年末賞与の減少が懸念され、年末以降は高額衣料中心に失速する可能性もある。

業界最大手のファーストリテイリングは、看板商品の「ヒートテック」を前シーズンから2000万枚多い1億枚投入する。同商品は03年の発売から販売数量が2億枚近くに上るが、今期は消臭機能の強化や軽量化を図り消費者に訴求する。今秋は米国・ニューヨークや韓国・ソウルでグローバル旗艦店をオープンする計画で、海外でも同商品を軸に売り上げは堅調に伸びると期待できる。

しまむらも海外の動向に注目が集まる。今年9月に上海に現地法人を立ち上げ、来12年度に10店程度の出店を計画している。今後の拡大は約10店での検証次第となるが、強みの低価格とファッション性を武器に人気に火がつけば、中国マーケットが次の成長の要となるのは間違いない。

夏場にクールビズ関連商品を中心に好調だった紳士服業界は、冬場のウォームビズ需要へ期待を寄せる。青山商事はじめ各社は、主力のスーツに加え、カーディガンやベストなどの品ぞろえも強化する方針だ。また、リクルートとフレッシャーズシーズンでもっともスーツの販売量が多い3月は、来年は震災影響からの反動増で売り上げ、利益ともに回復しそうだ。

10年末から底打ち感が見られ始めた百貨店アパレルも、ウォームビズでの取り込みで復活を本格的なものにしようと動き出している。オンワードホールディングスは、発熱や保温、防風などの機能性を高めた「ウォームシャツ」、「ウォームパンツ」などを新たに開発。メンズ主力7ブランドで9月中旬に投入を開始した。また三陽商会でも、今シーズン独占使用となる吸湿発熱綿「マックスサーモ」を用いたコートを開発し拡販する。

ただ年末賞与などに不透明感が残り、中高価格帯の百貨店アパレルには逆風もある。機能商品を軸に集客し、ファッション衣料をどこまで売り込めるか、やや不透明な面もある。
(鈴木 良英 =東洋経済オンライン)

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