「大正製薬の広告炎上?」怒る人は本当に多いのか 企業はネットでの批判に翻弄されるべきではない

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筆者がSNS上の話題を拾って記事を書くようになって以来、たいして批判されていないものが「批判殺到」とされたり、SNSで数十件程度の批判的な意見が出ているに過ぎないものを「炎上」と報道されたりするケースを目にするようになった。

そうした記事が「寝た子を起こす」ことになったり、「火に油を注ぐ」ことになり、たいして議論になっていなかったことが「物議をかもす」ようになったりする。広告を出している企業にとっては、迷惑な話である。

企業はネットメディアの論調に翻弄されるべきではない

SNSの投稿やそれをまとめた記事は、どうしても目につくし、リアルタイムで反応が見えるので、つい気になってしまう。しかし、企業が本当に向き合わなければならないのは顧客であり、広告において反応を見なければならないのは、顧客になってくれそうな人たち、つまりは潜在顧客である。

当然のことながら、一部のSNSの声が既存顧客や潜在顧客の声を代表しているとは限らない(むしろ、そうでないことのほうが多い)。

一方で、今回のリポDの広告(あるいは先述のムーニーの動画も同様だが)は、子どもを持つ勤労女性のリアリティをとらえていたからこそ、批判の意見が出ていたという側面もありそうだ。

企業側としては、SNSでは測れない広告のポジティブな影響も含めて、広告効果を検証する必要があるだろう。

なお、ねとらぼの取材に対して、大正製薬は「ご質問いただいた件につきましては、回答を控えさせていただきます」と回答したとされている。

大正製薬側の対応は妥当であると思う。何を回答したところで、「話題のネタ」を提供することになるだろう。こうしたケースは放っておけば沈静化するものなので、広告は取り下げず、静観していればよいと思う。

批判的な意見は意見として受け取って、今後に活かせばよいだろう。

西山 守 マーケティングコンサルタント、桜美林大学ビジネスマネジメント学群准教授

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にしやま まもる / Mamoru Nishiyama

1971年、鳥取県生まれ。大手広告会社に19年勤務。その後、マーケティングコンサルタントとして独立。2021年4月より桜美林大学ビジネスマネジメント学群准教授に就任。「東洋経済オンラインアワード2023」ニューウェーブ賞受賞。テレビ出演、メディア取材多数。著書に単著『話題を生み出す「しくみ」のつくり方』(宣伝会議)、共著『炎上に負けないクチコミ活用マーケティング』(彩流社)などがある。

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