「大正製薬の広告炎上?」怒る人は本当に多いのか 企業はネットでの批判に翻弄されるべきではない

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炎上しているかしていないかを問わず、不適切な広告表現があれば取り下げを検討するべきなのだが、今回のケースでは、そこも疑問である。

SNSでの批判的な声の大半は、「仕事、育児、家事の役割を女性に押し付けている」という、性役割分担意識を問題視しているものだ。

たしかに、時代に合わせてもう少し表現を配慮する必要はあったかもしれない。あるいは、男性版の広告も対にしたメッセージを入れるなどして、仕事だけでなく、育児や家事に参画している男性を応援する表現になっていたら、批判も抑えられたかもしれない。

しかし、この広告の表現が「性役割分担の固定化」に該当しているかどうかは、見た人の解釈の問題に負うところが多く、表現自体を「不適切」と言い切るのは難しい。もちろん、取り下げを検討するほどのケースでもない。

過去の類似ケースでは取り下げに至っていない

広告の炎上で、ジェンダーに関するものは非常に多い。

「日本初の炎上CM」と言えるのかどうかわからないが、大きく批判をされて取り下げにまで至ったケースとして1975年のハウス食品「シャンメンしょうゆ味」のテレビCMが有名だ。

これは「私作る人、僕食べる人」という、まさに性役割分担の固定が問題になったケースだ。ただし、この表現は消費者が問題にしたわけではなく、婦人団体から抗議を受けて問題化したものだ。このCMは約2カ月で放送中止になったが、当時としては先進的な判断だと見なされた。

その後も、ジェンダー関連、性役割分担関連の広告に対してさまざまな問題が起きているが、すべて取り下げに至っているわけではない。

今回のリポDの広告と類似したケースとしては、2017年にユニ・チャームのおむつブランド「ムーニー」の動画について巻き起こった議論がある。

本動画は、育児をする母親への応援の動画であったが、父親が少ししか映らず、母親が育児に苦労するシーンが描かれていたことから、「ワンオペ育児を賛美するもの」として批判を浴びた。

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