マックスむらい、「議事録作成係」からの快進撃 「営業経験」の通過点的価値とは?
「私が最も大事にしているのは、『続けていくこと』。たとえば、商品広告の動画を1000万円で販売した場合、何億円もの商品を売らなくてはスポンサー側に利益は出ません。そんなのキツいし、仕事に対してネガティブな感情が0.1%でも入れば、自分が続かない。だから、面白いものを動画で紹介し、自社のストアやECサイトで販売していく事業を選んだんです」
自分が飽きずに続けていくことを大切にし、それを成立させる方法を生み出す。営業時代の経験は、村井氏が新たなビジネスで価値を生み出すサイクルの根底を作ったと言えるだろう。
続けるために、自ら“新陳代謝”していく
村井氏は、「おカネ儲けが好き」で「赤字の事業が大嫌い」だと公言してはばからない。その理由はやはり、儲からないと「続かない」からであり、かつ、おカネを使う行為そのものがコミュニケーション手段の時代であるからだという。
「まず、アーティストにありがちな『よろしければ自分の曲を聞いてみてください』みたいなスタンスでは絶対にダメなんですよ。買ってもらわないと続かない以上、『聞け!買え!』です。ウチのストアも同じで、『来て遊べ!カネを使って帰れ!』と言い続けなければ、事業として続かないんです」
実際、AppBank Store(実店舗)には、修学旅行で東京に来て、小遣い5000円分を丸々使う高校生もいるそうだ。村井氏はそれに対し、「もっと使え!すっからかんになって帰れ!」と本気で思っている。
「彼らにとっては『むらいの使ってるアレを買った』『マジかよ、やっべーな!』という、そのやりとりこそがネタになり、密な思い出になる。ウチにカネを落とすことで、ダイナミックなコミュニケーションを体験でき、われわれもまたダイナミックに事業を展開し続けることができるわけです」
AppBankが動画配信事業を開始したのはわずか2年前で、小売り事業もそれに伴ってスタートしたが、この2つは現在の主力事業だ。設立当時と比較すると、事業収益の8〜9割が入れ替わったが、結果として、前年越えの利益を出し続けている。
「体の細胞が入れ替わるがごとく、事業そのものがどんどん変化しています。毎日毎日、新しい挑戦を求められ、社員もみんなジェットコースターに乗って酔っぱらっているような状態で、ここまで来ました。でもそれは、動画産業そのものが成長真っただ中にあるから。この産業が衰退したときこそが勝負のときなんです。つねに変化し続けること、新陳代謝していくことが大事ですね。これは同じ営業トークで、同じ日々を繰り返す営業マンに対しても言えることだと思います。夢見る自分があるのなら、自ら工夫し、新陳代謝していくこと。そこから新たな可能性が広がります」
(取材・文/上野真理子 撮影/竹井俊晴)
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