訪れたときには田舎町の駅のようでとくに人が盛んに行き交うような風景も見られなかったが、そんな新古河駅は8月にビッグイベントを控えている。渡良瀬川の河川敷に設けられたゴルフ場を舞台に行われる、花火大会だ。
「コロナ禍で開催できない時期があったので、今年は5年ぶりになるんです。打ち上げのゴルフ場はJR古河駅よりも新古河駅のほうが近く、見物に来られるお客さまの多くも新古河駅を使うと思われます。ですので、臨時列車の運転も予定していますし、当日は管区を挙げて態勢を整えてお客さまをお迎えする準備を進めています」(椎名駅長)
椎名駅長が預かる3駅はいずれも埼玉県の駅だが、古河の花火大会に関する打ちあわせでは県境を越えて茨城県に出向くこともあるし、管区の拠点は栃木県の栃木駅。さらに日中の無人になる時間帯の利用者対応をしている板倉東洋大前駅は群馬県内の駅だ。つまり、椎名駅長は実に4県を股に掛けて仕事をしている、ということになる。
古くからの交通の要衝
利根川に渡良瀬川が合流するこの一帯は、鉄道以前の時代から交通の要衝だった。栗橋の宿場は河川舟運の一大拠点。明治に入り鉄道が開業するまでは、東京・深川との間を汽船が行き来していたという。
鉄道が通ってからも物資の集積地としての機能は衰えず、明治から昭和の初めまでは紡績工場も置かれていた。物流の要の存在感の大きさがうかがえる。いま、栗橋駅を預かる椎名駅長が、4県を股に掛けているというのも、そうした要地であることの名残の1つといっていいのかもしれない。
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