脱・ユニクロ廉価版、ジーユー新戦略の賭け

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脱・ユニクロ廉価版、ジーユー新戦略の賭け

ポテンシャルは「ユニクロ」と同等--。柳井正・ファーストリテイリング会長兼社長が熱い期待を寄せる低価格カジュアル業態「ジーユー」が今、急拡大しようとしている。2011年8月期は、国内ユニクロの店舗純増が36店で、ジーユーは同33店。今期以降は、50店かそれ以上の出店を計画しており、ユニクロをしのぐ勢いだ。

国内844店を数えるユニクロ事業が営業利益の9割超を稼いでいるファーストリテイリングにとって、新たな収益柱を育成することは大きな課題の一つ。同社が掲げる“20年に売上高5兆円”という壮大な目標達成にも、ジーユーの成長は必要不可欠である。

だが、これまでのジーユーの道のりは試行錯誤の連続だ。06年に、ユニクロより安い価格でファッションを追求した専門店というコンセプトで誕生し、ダイエーに出店したのが始まりだった。鳴り物入りで参入したものの、いざふたを開けてみれば思わぬ苦戦を強いられた。

ユニクロの7掛けという低価格を打ち出してはいたが、これはユニクロで恒例となっている土日セールの価格には及ばない水準だった。商品はODM(他社によるブランドの設計・生産)が多く、仕入れ先による開発商品の寄せ集め。統一感が欠如していた。

1年で50出店の目標を掲げた手前、出店こそ強行したが、07年8月期は売り上げが計画の3分の1となる35億円で14億円の営業赤字を計上。次年度以降の計画はすべて凍結せざるをえなかった。

価格とファッション性、どちらも中途半端だったことで不振が続いたが、「当初に計画していたものが、まだ何もできていない」(ジーユーを展開するGOVリテイリング・柚木治社長)という不完全燃焼感が事業廃止をとどまらせた。そして苦肉の赤字削減策が、ファッション性の追求よりも、ベーシック商品の低価格化を徹底することだった。

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