脱・ユニクロ廉価版、ジーユー新戦略の賭け

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 企画から店頭投入までのリードタイムについては、たとえば「ZARA」を擁するインディテックス(スペイン)では、デザイナーや縫製工場を自社で抱えることで、企画から店頭配備まで2週間というリードタイムを実現している。トレンドをタイムラグなく投入できるため、商品精度が上がりトレンドの当たり外れが少ない。だがジーユーは、1年、半年、3カ月と3段階のリードタイムを基本とする。最先端トレンドを取り入れられる状況とは言いがたい。

むろん、この体制でファッションを追う難しさは「先人のいない領域で、足を使ってはいけないサッカーのような離れ業」と柚木社長自身も認める。ただ、品目数が多いと1品当たりの在庫が少ないので売れ筋も欠品し、ほとんどの人がヒット商品を手にできないリスクを挙げる。

さらに先端すぎるファッションを着ていることへの恥ずかしさを感じる消費者も多いと指摘する。ジーユーの最短3カ月というリードタイムこそ、品質や納期に無理もなく、程よいトレンドが取り入れられ、マスの顧客が求める商品が作れるというわけだ。

9月には、こうしたコンセプトから生まれた商品を本格的に投入。ベーシック中心の品ぞろえから、ファッショントレンド商品が半分以上になる。来春夏には国内でジーユーの「低価格ファションブランド」というイメージを確立させ、早急に海外進出の準備に入るという。「ジーユーは海外では特に成功する業態」と柳井社長は意気込む。

「ザジ」や「アンラシーネ」など、ファーストリテイリングが過去にM&Aで取得したトレンドカジュアル専門店は、休止を余儀なくされてきただけに、自ら作ったジーユーで、今度こそジンクスを打破したいとの思い入れはひとしおだ。しかし、ベーシック衣料のユニクロに次ぐ第2の柱を育成するのは容易ではない。未踏領域への挑戦という、高いハードルが待ち構えている。

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(鈴木良英 撮影:梅谷秀司 =週刊東洋経済2011年9月10日号)

※記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
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