会話で「知らない」と決して返してはいけない理由 まずは「面白そう」と繋ぎ、相手に教えてもらおう

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実は「話せないネタ」というのは、単に「食わず嫌い」であることが多いのです。

その「食わず嫌い」を防ぐために、私の授業では、自分の苦手な分野や嫌いなものについて、あえて「ほめる」という練習をしてもらいます。

なかには抵抗する人もいますが、「ほめる」役割になってみると、これが意外とできるものなのです。

そして、実際にほめてみると、不思議と「あれ、嫌いじゃないかも」「へえ、こんな面もあるんだ」という気持ちになります。ほめることで、自分の意識が変わるのです。「嫌だな、苦手だな」と頑(かたく)なになっていた心が、ほめるという行為で「そうでもないかも」「むしろ興味が出た」と緩んでいくんですね。

私も授業で韓国のアーティストについて、学生から教えてもらったことがあります。「へえ」と思ってユーチューブで曲を聴いてみたりすると、「意外といいな」と音楽の趣味が広がることもあります。

専門的な話題も、たった一つのキーワードで話が続く

こうして「食わず嫌い」の分野をなくしていくと、趣味的な話題や、少し専門的な話題を振られたときにも困りません。知っている言葉を使って、

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「それって、こういうものですよね」

と返すと、「あ、ご存じなんですね」と会話をつなげることができます。

少し不安があれば、

「よくわからないのですが、これもそうですか?」

と一言返すだけでも、相手は安心して話を続けてくれます。相手も「この話をして相手にわかってもらえるだろうか」と心配しながら話していることがあるのです。

たった1ワード、2ワードでかまいません。「全然知りません」と答えるのと、知っていることを一つでも返すのとでは、その先の展開はだいぶ変わるのです。

齋藤 孝 明治大学教授

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さいとう たかし / Takashi Saito

1960年静岡県生まれ。東京大学法学部卒業後、同大大学院教育学研究科博士課程等を経て、明治大学文学部教授。専門は教育学、身体論、コミュニケーション論。ベストセラー著者、文化人として多くのメディアに登場。著書に『声に出して読みたい日本語』(草思社)、『読書力』(岩波書店)、『雑談力が上がる話し方』(ダイヤモンド社)、『質問力』(筑摩書房)、『語彙力こそが教養である』(KADOKAWA)、『読書する人だけがたどり着ける場所』(SBクリエイティブ)ほか多数。著書発行部数は1000万部を超える。

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