「"現場力"が死んでる日本企業」3つの危機的症状 なぜ多くの会社から「現場力」が失われたのか?

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【3】苦悩は「諦め」に、不満は「不信」になっている

現場力とは現場で働く人たちが主体的にさまざまな問題解決に取り組むことである。そのためには「高い当事者意識」、そして積極果敢に挑戦するための「熱気」「意欲」が不可欠だ。

にもかかわらず、現場が「熱」を帯びていない。これこそ、日本企業にとっては最大のリスクである。

ある大手企業の営業現場でのワークショップでは、こんな言葉が次々と出た。

「相変わらずの個人商店の集合体。仲間意識もなければ、一体感もない」

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「とにかく働く環境が劣悪。仕事をしない年配社員がいるだけで、若手社員のモチベーションは下がる。なのに、会社も上司もまったく手を打とうとしない」

「上司は選べないが、会社は選べる。やる気のある人から当然のように去っていく」

こうした状況は、いっきに生まれたわけではない。「失われた30年」の間に、経営の誤った舵取り、無為無策がじわじわと現場を痛めつけ、どうにもならない状況にまで追い込んでしまった。

数年ほど前までは、現場が苦悩し、もがき苦しむ姿を見かけた。経営陣や管理職に対する不満の声も耳にした。いまから思えば、それはまだ健全な姿だった。

いまでは、苦悩は「諦め」へと変容し、不満は「不信」へと変質した。これが3つめの理由である。

もう一度ゼロから現場力を「鍛え直す」必要がある

「現場力は死んだ」と認めざるをえないほど、日本企業の現場は変わってしまった。

現場力は最初から存在するものではない。現場に眠っている現場力という潜在的なパワーを覚醒させ、鍛えなければならない。

これからの私たちはもう一度ゼロから現場力を「鍛え直す」必要がある。しかし「鍛え直す」といっても、単純に元に戻せばいいというわけではない。

いまは、企業を取り巻く環境、働く従業員の価値観、そしてテクノロジーは大きく変化している。これからは、そうした 「新たな環境」に適合する「新しい現場力」へとアップデートすることが求められているのだ。

遠藤 功 シナ・コーポレーション代表取締役

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えんどう いさお / Isao Endo

早稲田大学商学部卒業。米国ボストンカレッジ経営学修士(MBA)。三菱電機、複数の外資系戦略コンサルティング会社を経て現職。2005年から2016年まで早稲田大学ビジネススクール教授を務めた。

2020年6月末にローランド・ベルガー日本法人会長を退任。7月より「無所属」の独立コンサルタントとして活動。多くの企業のアドバイザー、経営顧問を務め、次世代リーダー育成の企業研修にも携わっている。良品計画やSOMPOホールディングス等の社外取締役を務める。

『現場力を鍛える』『見える化』『現場論』『生きている会社、死んでいる会社』『戦略コンサルタント 仕事の本質と全技法』(以上、東洋経済新報社)などべストセラー著書多数。

 

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