「"現場力"が死んでる日本企業」3つの危機的症状 なぜ多くの会社から「現場力」が失われたのか?

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【1】現場に「活気」も「熱気」も失せている

「現場力なんてもうありませんよ……」

ある大手部品メーカーの主力工場を訪ねた際、50代のベテラン班長から発せられた言葉に私は絶句した。

昼間に行われた意見交換会には、製造現場の課長や班長クラス約20人が集まった。重苦しい空気が会議室を支配し、たいした話は出なかった。しかし、意見交換会終了後、リーダークラスの班長4人と居酒屋で一杯やっているうちに、お酒の力を借りてか本音が出はじめた。

「人が増えても派遣社員ばかり。その面倒を見るので手一杯」

「自分の後継者を育てなきゃと思うが、久しぶりに配属された若手の正社員は1年足らずで辞めた」

「本社から指示される管理項目がやたらと増えて、提出する書類作成で忙殺される。部下とのコミュニケーションの時間さえとれない」

「こんなに忙しいのに赤字は続いている。給与も上がらないし、惰性でやっているだけ」

「こんな状況で現場力なんて高まるはずもない。先行きは真っ暗」

激変する環境の中で、彼らはもがき、必死に戦ってきた。しかし、いまではその気力すら失っている。

「活力」「熱気」が完全に失われ「無気力」「無関心」が蔓延

こうした現場の声、本音は多くの企業の現場でもよく聞くようになった。

「何を言っても無駄。会社には何も期待していない」

「余計なことはせず、言われたことだけおとなしくしていればいい」

「上が何を考えているのかわからないし、興味もない」

わかりやすく言えば、現場からエネルギーをまったく感じないのだ。「活力」や「熱気」が完全に失われ、無気力、無関心が蔓延している。現場の人たちが「熱いもの」を持って働いていないのだ。これが1つめの理由である。

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