「"現場力"が死んでる日本企業」3つの危機的症状 なぜ多くの会社から「現場力」が失われたのか?

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【2】「退職ドミノ」で「人手不足」から「人手枯渇」の時代へ

ある会社の経営者から、こんな話を聞いた。

会社のある現場で、パート社員がひとり退職した。その穴を埋めるために採用活動を行ったが、時給を上げても人はすぐには採用できなかった。

やむをえず、本部のスタッフが欠員対応のため現場に入った。当初は短期応援のつもりだったが、欠員がなかなか埋まらず、ずるずると長引いていった。

その本部スタッフは、本来は複数の現場を定期的に訪問し、現場の責任者たちから現場の状況や悩みごとなどを聞き、一緒に問題解決を推進する役割だった。

しかし、そうした本来の活動ができなくなり、現場の責任者たちは相談相手がいなくなり、孤立感を深めていった。

半年後、別の現場の責任者が退職を申し出てきた。引き留めたが、慰留することはできなかった。

そして、その3カ月後、欠員対応で現場に入っていた本部スタッフもメンタル不調に陥り、退職することになった。

まさに「退職ドミノ」が現場で進行している。これが2つめの理由だ。

2040年には「人手不足が1100万人」という予測も

リクルートワークス研究所の調査によると、労働の需給ギャップはこれから大きく拡大する。2030年には約350万人もの人手不足が発生し、2040年にはその数は1100万人になると予測されている。

日本は「人手不足」から「人手枯渇」の時代へと突入する。

それはたんに個々の現場の問題ではなく、経営そのものが回らなくなり、足元から瓦解することを意味している。

次ページ数年前まではよかったが…
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