ROEだけじゃない、気候変動も大きなテーマ

OECD玉木事務次長に聞く

独立社外取締役が、キャッシュを貯め込んでいるマネジメントの尻を叩いて、配当しろ、投資しろという必要はない。やはり投資がリターンに見合うかどうかが大事。コーポレートガバナンス改革全体に言えることだが、独立社外取締役を入れたからといって、配当や投資がたちどころに増えるものでもない。コーポレートガバナンス改革を進めると同時に、企業が投資をして確実にリターンを見込めるような投資機会を日本国内で増やしていく。その2つが両輪になっていないと、日本の企業セクターの投資は増えない。

日本とユーロ圏の設備投資は金融危機前の2007年の水準を回復していない。これが増えないと、足もとの潜在成長率も上がらない。当たり前のことだが、コーポレートガバナンス改革で企業側の行動を促すだけでなく、規制改革をはじめ、投資機会を増やすような政府からの政策的支援も必要だ。

「気候変動」は企業に取り重要なテーマ

――OECDプリンシプルの改定作業では、何が大きなテーマになりましたか。

(2004年の)1回目の改定はエンロン事件をはじめとする会計スキャンダルが契機になった。2回目の今回は、2008年の金融危機が何をもたらしたのかが議論の発端だった。金融機関の役員報酬が短期的なリターンに基づいたものになり過ぎていないかが問われた。コードを入れた国でどういうふうに(コーポレートガバナンスが)実施されているのか。仲間内でレビューを行い、相当広範に議論した。まだいくつも問題が残っていて、すべてに解決策を見出せているわけではない。

――資本市場の分野ではどんな議論が行われたのでしょうか。

たとえば、インサイダー取引。そういう取引が発生しないようなガバナンス構造をどうつくっていくか。資本市場の効率化や情報開示も大きなテーマになった。

少し話を広げると、欧州に住んでいて余計に思うのかもしれないが、いまの経済社会システムの持続可能性に対する、もっとも直接的なチャレンジは気候変動の問題だと思う。日本ではともすると、社会的責任の次元で議論されるテーマだが、本当は企業にとって重大なビジネスモデルへの挑戦であり、投資家からすると、投資プラットフォームの見直しを迫られる大きなテーマだ。

利益や資産などの伝統的な財務会計に加えて、環境や社会影響まで含めた企業行動の全体像を投資家に伝え、それが資本市場の効率を引き上げるようなことも重要だ。ROEも大事だが、企業は今後10年20年、ゴーイングコンサーンとして(今とは)異なる環境でやっていかないといけない。

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