サマンサタバサ「上場廃止」で迎える新たな正念場 憧れの平成ブランド、コナカと統合で復活狙う

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サマンサもブランド復活に向けて策を講じてきた。前社長の米田幸正氏は2022年から「リボーン計画」を断行。物流から商品開発まで全面的な見直しを図った。ブランドコンセプトも再定義し、サマンサタバサとほかのブランドのターゲット層や価格帯を分けるなどの改革を行った。

店舗戦略も、従来の単独ブランドでの出店から複数ブランドの統合型店舗を郊外型のモールに出店するようになった。

コナカからはサマンサへ商品担当の管理部長や人事部長が出向している。採算改善に向けて、委託先の工場や発注数の絞り込みなどを進める。また、コナカの若年層向けの業態「スーツセレクト」で新社会人向けのレディーススーツやバッグ、パンプスの商品開発で協力している。今後も、コナカとの生産委託先の統合などに着手する予定だ。

コナカ傘下で復活できるのか?

それでもコナカによるサマンサ再建には疑問が残る。

コナカはサマンサに資金注入してきたが、サマンサの2019年度から5年間の最終赤字の総額は実に201億円にのぼり、改善の兆しが見えない。コナカも同様に6期連続で最終赤字が続くなど、余裕はない。

業績回復への道筋が見えない中では、さらなる店舗閉鎖やブランドの改廃に踏み切る必要もありそうだ。連続赤字のトレンドを変えられなければサマンサタバサのブランド存続自体も危うくなる。

コナカとの経営統合を機に今度こそ反転攻勢をかけられるか。サマンサの正念場はまだ続く。

井上 沙耶 東洋経済 記者

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いのうえ さや / Saya Inoue

商用車・部品メーカーを担当。大学時代は写真部に所属し、社会学を中心に学ぶ。趣味は、漫画を読むこと、映画のサントラを聴くこと。

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