サマンサタバサ「上場廃止」で迎える新たな正念場 憧れの平成ブランド、コナカと統合で復活狙う

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サマンサの人気の理由について、全盛期を知る元社員は「流行していたキラキラのかわいいデザインとサマンサの商品のデザインが合致していた」と振り返る。実際、ピンクのほかに白や黄色、水色といったカラフルなバッグが登場していた。

だが、勢いも徐々に弱まっていく。得意としてきた著名人を起用する広告戦略が曲がり角を迎えたのだ。海外のインフルエンサーや歌手を起用した広告を打ち出しても、2016年度以降の業績は右肩下がりが続いた。

SNSの普及もあり、若年層にはCMよりもデジタルによる発信が宣伝効果として強くなった。サマンサはこうした若者の消費行動の変化をつかみきれなかったようだ。前出の元社員は「寺田氏は時代の流れに乗り遅れた。打開するために美容家電や化粧品などへ事業を拡大したが、在庫が積み上がるばかりだった」と明かす。

コロナ禍でも客離れが続く

業績が振るわない中、2019年にコナカが助け舟を出す。寺田氏が保有していた60%以上の株式のうち、31.3%をコナカの湖中謙介社長に売却した。その後コナカが湖中社長から株式を取得し、サマンサを持ち分会社とした。2020年にはサマンサがコナカ傘下の「フィットハウス」(ブランド雑貨などを販売)を吸収合併し、コナカの出資比率は59.1%に上昇、コナカはサマンサの親会社になった。

サマンサは2020年以降、コロナ禍の行動制限や外出自粛にも苦しんだ。ハンドバッグの需要が減り、店舗販売は苦戦。業績の急降下とともにブランドに対するイメージも変わっていく。全盛期に築いた「憧れのブランド」の力はなくなり、顧客は離れた。

あるアパレル関係者は「かつては娘に『サマンサのバッグを買ってほしい』とねだられていたものだが、今はもう本人は買い続けていない」と話す。当時、サマンサのバッグを購入した若者はストリートやカジュアルの流行にシフトしたか、ほかの高級ブランドを選ぶようになったようだ。

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