乳幼児のいる世帯が東京から逃げている納得の訳 0-4歳の乳幼児は43道府県に対して転出超過

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では、東京から流出した人はどこへ向かったのだろうか。子ども人口には限定できなかったが、東京からの転入人口(外国人を含む)が多い、首都圏の主だった都市は次の通りだ。

【神奈川県】横浜市:3万2483人/川崎市:2万7731人/相模原市:7545人/藤沢市:3498人/茅ヶ崎市:2079人

【埼玉県】さいたま市:1万3794人/川口市:9339人/所沢市:5198人/草加市:3493人/新座市:3209人

【千葉県】市川市:8258人/船橋市:6891人/千葉市:6823人/松戸市:6220人/柏市:3933人/浦安市:2688人/流山市:2603人

東京の地価高騰で子育て世代は23区はもちろん、武蔵野市や三鷹市といった23区に隣接している郊外に住宅を求めることも困難になっている。待機児童数で見ると23区内は世田谷区の10人、墨田区の2人を除くとゼロになっているが、市部では国分寺市38人、日野市33人、町田市30人、立川市26人など都全体で286人となっている(令和5年4月1日現在)。

最近、子育ての街として人気の千葉県の流山市は令和3年に待機児童ゼロを達成している。人気上昇で地価が高騰しているが、それでも住宅地の平均は1平方メートル当たり約15万円。東京三鷹市の3割超程度の水準である。これでは東京都内から流山市に子育て世代が流れてもおかしくはない。

東京都はこれまでに、都内に在住する18歳以下の子どもに対し「018サポート」として一人当たり月額5000円(年額6万円)の支給、高校授業料無料化などの支援策を実施しているが、住宅コストが最大のネックだろう。さらにインフレによる生活費の負担増も重い。

この先、「異次元」の子育て支援策を打ち出さない限り、東京は一極集中と少子化が同時進行するといういびつな姿を露呈していくことになる。

山田 稔 ジャーナリスト

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やまだ みのる / Minoru Yamada

1960年生まれ。長野県出身。立命館大学卒業。日刊ゲンダイ編集部長、広告局次長を経て独立。編集工房レーヴ代表。経済、社会、地方関連記事を執筆。雑誌『ベストカー』に「数字の向こう側」を連載中。『酒と温泉を楽しむ!「B級」山歩き』『分煙社会のススメ。』(日本図書館協会選定図書)『驚きの日本一が「ふるさと」にあった』などの著作がある。編集工房レーヴのブログも執筆。最新刊は『60歳からの山と温泉』(世界書院)。

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