人間はダメだと思った瞬間からが勝負の時だ 森川亮と奥田浩美が「仕事の流儀」を語る

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奥田:楽するというのは貿易的な考え方で、何かを生み出すのではなく、効率的に回すという時代もありました。そういう価値観を刷り込まれた人が時々いますね。汎用性のある仕事、誰でもできる仕事ではロボットでもできるし、右から左に誰でもできる仕事なんて人工知能でできる。

森川:マニュアルでできる仕事をしている人は、いつまでも評価されないですしね。

奥田:今は世の中が、ありえないくらいのスピードで動いてますから。私は何が幸せだったかというと、世の中の最先端のITイベントの仕事しかしていないことなんです。イノベーションが起きる瞬間の会社の仕事しかしていない。ダレてきた会社やイベントの仕事はどんどん捨てて、前に進んでました。世の中どっちを向いているか、20年間嫌というほど体に染みついいている。今の私の源泉ですね。

森川:人はどうなるとダメになるか見ているわけですね。奥田さんから連絡がなくなったらこわいですね(笑)。

奥田:動いているとわかるんですよ。いい絵画ばかり見ているとわかるのと同じ。

攻めていこうとしているのか、現状維持しようとしても、安定できないくらいのスピードで進んでいっちゃう会社とか。

森川:今は個人が進化する以上に、時代が進んでいますからね。会社も事業の成長を考えたときに、それ以上成長するために赤字でもやるべきかで悩むことがあります。個人もそうで、時代より成長しなければ成長といえないし、努力しないと変わらない。でもそれができない人は、ポジションや地位を守ることにせいいっぱいで、人をじゃますることに能力を使っちゃう。

奥田:今の時代、スピードが早いから全力で前に進まないと、どんどん置いていかれるだけなのに。

森川:脳科学者に聞いたのですが、人間は賢いから体が悪くなる前に、脳から体に信号を送るそうです。だから実はダメだと思ってからが勝負タイミングで、そこから自分を鍛えると成長できる。その時、どれだけ自分に鞭を打つかが大事になると言ってます。ダメだと思ったときにこそ、頑張らないといけないんですよね。

新規事業に障害があったらどうする?

奥田:大手企業で新規事業や何か新しいことをやり出すときに、なぜか邪魔してくる上司っていますよね。森川さんはどう対応していたのですか?

森川:私はまず褒めて受けとめて、それで難しければその後はうまくかわすことですね。褒めるとだいたいOKになる(笑)。あとは何か言われても「あ、そうでしたね」とかわしてました。

奥田:なるほど。私の場合はやりたいことに向かって全力で走っちゃうことが多いので、相手が連いてこれなくなっちゃうことが多いですね。視界からいなくなるから、邪魔しようがない(笑)。

森川:成果を出していれば、誰も何も言えなくなりますからね。原則としては会社に貢献することが大事なんですが、上司の言うとおりにしても成功するわけじゃないし、そこはポイントですね。

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