人間はダメだと思った瞬間からが勝負の時だ 森川亮と奥田浩美が「仕事の流儀」を語る
奥田:能力がある人は自ら行動して成果を出しますからね。私の会社はそれぞれが成果を出さないと、おカネがもらえない仕組みなんです。能力がある人は個人事業主となって、もっと能力がある人は経営者になる。
そして、たった7人でも主だったイベントが回せる力を持っています。7人全員がウィザード(魔法使い)であること。これが私流の育て方です。ウィズグループがなぜあるかと言えば、会社が相手でないと大企業と取引ができないから、器みたいな役割ですね。その結果、新経済サミットだろうが、Googleのカンファレンスだろうが仕事がとれます。
森川:奥田さんの社名のウィズグループは、ウィザードから来てたんですね。なんでWithなんだろうと、ずっと思っていました。
奥田:人間を飛び越えるくらいウィザードの力があれば、普通の会社では力が発揮できなくても、うちに来れば成果が出せる。介護に7割を割いている人や、朝起きれないスーパークリエイター、超優秀だけど8時間一緒にいたらウザい営業とか(笑)。
人間は動物園に置くんじゃなくて、サファリパークのような野生に放っておくのも必要なんじゃないかと思っています。打ち合わせのときにはいるけど、それ以外は自分のペースで働くというような。
森川:仕事ができる人は、型にはまらないですよね。私がここ数年の経験で学んだのは、日本で成功する人と世界で成功する人は違うということ。日本で成功するのは根性とマニュアル、コーチの言うことを聞くとか自分のやり方を仕組化している人。でも、それではコーチの上には行けない。逆に世界で活躍している人は、今までにないことを生み出した人。だから、LINEのときは企画現場ではあまり採らなかった。多少は野生動物が増えないとアジアで戦えないんです。
新しいリーダーシップのかたちが生まれている
奥田:「俺についてこい」というピラミッド型の仕組みを作ろうとするリーダーの下でやっていても、そのリーダー以上にはなれないんですよね。昔の軍隊や昭和の時代はそれでよかったのかもしれないけど、それでは後輩や部下が自分以上に育たない。
これからの新しいリーダーシップは、最善の方法を個人がそれぞれチャレンジしていって、リーダーはそれを後ろから追いながら判断していくタイプになるんじゃないかと。もちろん時には見捨てる判断も必要なのですが。
森川:今は軍隊もそういうやり方をしているみたいですよ。日々ゲリラ戦だし、情報は傍受されちゃうから共有もしない。現場に任されている。でも日本はいまだに戦艦ヤマトやゼロ戦スタイルで戦っているけど、私はそういうのを変えたいんです。
奥田:部下のモチベーションを上げるために、何かあったら飲みにいこうみたいな(笑)。
森川:そこに労力をかけるより、ほかにやることがあるだろうって思うんです。本質的じゃないですよね。