「元リクルートの母」がNPOで目指すもの 夢を叶える行動力はリクルートで教わった

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「いきはぐの情報マッチングサイトのアイデアは、リクルートの現場にいたからこそ生まれたものです。また営業時代の取材経験は、現在、行っている記事の執筆や撮影に大きく役立っています。昨年度実施したクラウドファンディングが成功したのも、リクルート時代に培った営業力があったから。私の強みは行動力。それはすべてリクルートで培われました」

結婚、起業、出産のラッシュ

退職する3カ月前に社内結婚しNPOで起業する準備を進めた。そして退職後に妊娠が発覚する。

「さあやるぞ!と思った矢先の妊娠でした。全国のオルタナティブ教育実践校(園)を取材していたのですが、さすがに体調が悪くて安定期に入る5カ月まで仕事をキャンセルしました」

安定期に入り取材を再開するが、当時は取材を受けてもらえるだけでもありがたかったと振り返る。

「設立当時は知名度ゼロでしたから、園や学校側とのやり取りも大変でした。ある程度ホームページを充実させてからは、取材依頼もくるようになりました。取材費は退職金を使っていたので、地方に行くと予定を詰めて取材しまくっていました(笑)」

現在は1児の母である征矢さん。出産後は北海道から沖縄まで、子どもと一緒にさまざまな教育施設取材をしている。

「子連れでの取材を快く受け入れてくださる方も、そうでない方もいらっしゃいますが、意外に、子連れワークスタイルでも大丈夫かなというのが本音です。もちろん取材先が教育関係施設ということもありましたが、抱っこやおんぶならそれほど支障もありませんでした。教育の仕事だからこそ、自分自身が子育てのプロセスを味わいながらやることに意義があると思ってのスタイルです。

ただ、息子が2歳になって自我も芽生え、これまで通りには行かないことも多々出てきました。このスタイルに固執しているわけではなく、いちばん大切なのは私と息子、それぞれがハッピーであることだと思っています。そんなスタイルを模索中ですね。今後は夫の協力なども得ながら工夫し、できるところまでやっていきたいと思っています」

長男が幼稚園に通い出すまでは可能な限り、園や学校の取材をしたいと思っている。その後は子どもの成長に合わせ、第2子・3子も考えていくつもりだ。子どもと一緒に過ごしながら、その時々の自分がやりたいことを追及できるスタイルを模索する征矢さんの夢は、「いきはぐ」の活動をさらに充実させることと、教育を重視しながら母親と子どもが共に過ごし、交流できる子育てビレッジを作ることだという。

子育てを、自身のライフワークと重ね合わせ、その時々の状況に柔軟に対応していくという征矢さんのライフ・ワークスタイルは、働き方のダイバーシティを考える上でも、大きなヒントとなりそうだ。

富岡 麻美 フリーランスライター/コーディネーター

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二児の母。大手企業数社でのアシスタント、秘書を経て、ソーシャルビジネスに興味を持ち、さまざまなNPOの活動に参画する。出産を機にフリーランスへと転向し、“social・slow life・education・WLB”などをテーマに年間70件以上取材・執筆。現在では企業・個人事業主のブランディングやPRサポートなども手がける。

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