人の世のはかなさを語り合い
七日ごとの法要は次々と終わるが、光君は四十九日までは引き続き左大臣邸にこもっている。光君のこうした慣れない退屈な暮らしを気の毒に思い、三位中将(さんみのちゅうじょう)(かつての頭中将(とうのちゅうじょう))は始終つきっきりで、世の中のさまざまなことを──真面目な話も、またいつものように色恋の話も、あれこれと話してはなぐさめている。そんな時、二人で大立ちまわりをした典侍(ないしのすけ)のおばば殿のことがきまって笑い話の種になるのだった。
「かわいそうじゃないか、おばば殿のことをそんなふうに軽んじちゃいけないよ」
光君はそう咎(とが)めながらも、いつも笑ってしまう。
あの十六夜(いざよい)の月に、暗い中で中将に見つかった時のことや、ほかのことも、それぞれの色恋について洗いざらい打ち明け合いながら、しまいには、人の世のはかなさを語り合い、つい泣いてしまうのだった。
















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