仏で極右躍進、マクロン氏「解散総選挙」は無謀か 7月26日のパリ五輪開幕を控える中で重大決断

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そんな予想は織り込み済みの極右勢力は、解散宣言の翌日には、対策に乗り出した。

フランスにはRNから離脱した極右のレコンキスタ党を率いるマリオン・マレシャル=ルペン党首が、叔母のマリーヌ・ルペン氏、バルデラRN党首と会談し、連携の可能性について話し合ったと報じられた。異端のジャーナリストで評論家のエリック・ゼムール氏は極右旋風を巻き起こした人物でレコンキスタ党創設者だ。

レコンキスタ党は、RNよりはるかに規模が小さく、9日にはフランスで欧州議会議員を選出するために必要な5%の基準をかろうじてクリアしただけだったが、彼らの支持者は、接戦となる下院選において決定的な存在となる可能性があると欧州ポリティコは分析している。ただ、ゼムール氏がRNとの統一戦線を組むことに合意するかは不明だ。

さらに野党・中道右派の共和党に対してもバルデラ氏は共闘をアプローチし、右派・極右グループの結集を呼び掛けている。シオッティ共和党党首はRNとの合意の意思を表明したが、党内から強烈な反対意見が噴出し、成り行きは不透明だ。かつてシラク大統領、サルコジ大統領などを生んだ最大与党だった共和党は、RNに抜かれ、第4政党に成り下がっているが、今回の総選挙について、左派を封じ込める千載一隅のチャンスとする見方は強まっている。

単なる賭けではなく大胆不敵?

ブルームバーグ欧州版は「これは単なる賭けではなく大胆不敵な一手だ」と指摘。「通常、このような行動に出るプレーヤーは、手札があまり残っていないものだ」というEU問題の独立系コンサルタント、イブ・ベルトンチーニ氏のコメントを紹介した。

事実、2期目に入ったマクロン氏の支持率は下がる一方だ。マクロン氏は権力の座について以来、自分の功績で選ばれたと信じている議員たちの選挙ポスターにマクロン氏の写真を加えることを繰り返してきた。

今回のEU議会選でもそのアピールを変えなかったが無駄だった。アメリカ中間選挙でトランプ氏の応援演説が歓迎されなかったのと同様、マクロン効果はない。

RNは、かつては反共と移民排斥を掲げた国民戦線という極右政党だったが、マリーヌ・ルペン氏は穏健路線をとり「脱悪魔化」で庶民を味方につけ、低所得者層にも支持を拡大。現在は野党右派勢力最大の88議席を得るまで議席を伸ばし、第3政党に躍り出て、過半数を取れない中道勢力を脅かしている。

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