仏で極右躍進、マクロン氏「解散総選挙」は無謀か 7月26日のパリ五輪開幕を控える中で重大決断

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マクロン大統領
フランスのマクロン大統領(写真:Bloomberg)

極右勢力が過去最大の議席を獲得

6月9日の欧州連合(EU)議会選挙(720議席)は、予想どおり、極右勢力が過去最大の議席を獲得し、ヨーロッパの右傾化に歯止めがかからない流れを印象付けた。ウクライナ紛争がヨーロッパを震撼させ、エネルギー価格やインフレ、治安悪化を含む移民問題など、反グローバリゼーション、EU懐疑派の極右勢力にとって有利な材料がそろっていた。

フランスでは、マリーヌ・ルペン氏率いる極右政党・国民連合(RN)の得票率が31.4%で、与党連合の2倍以上の得票率となった。開票の予想結果が報じられた9日夜、マクロン氏はテレビに登場し、国民議会(下院)解散と総選挙を6月30日と7月7日に行う決定を示し、国内外に衝撃を与えた。側近のアタル首相も発表の1時間前に知らされたという。

EU議会選で極右勢力が優勢なことは、さまざまな事前の世論調査で伝えられていたので、マクロン氏は対応を準備する時間はあったと推測されるが、欧州メディアには一斉に「危険な賭け」「政治的自殺」「最悪の結果をもたらすギャンブル」との見出しが躍った。モスクワは「マクロンはロシアンルーレットをしているようだ」とからかった。

マクロン氏の唐突なフランス議会の解散総選挙は、国を極右勢力に売り渡すわけにはいかないという意図だ。仮に総選挙で大敗し、極右・右派が議会与党になれば、ウクライナ支援を含め、政策課題でマクロン氏は権力を失い、政治的混乱は避けられなくなる。

次ページ選挙はマクロン氏の任期には影響しないが…
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