仏で極右躍進、マクロン氏「解散総選挙」は無謀か 7月26日のパリ五輪開幕を控える中で重大決断

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解散総選挙は制度的にマクロン氏の2027年までの任期には影響しない。が、マクロン氏の勢力である中道・ルネッサンス党は前回2022年の下院選挙で過半数割れしたのに対して、RNは88議席を維持しており、議会での発言権を増している。

解散総選挙の結果が出るのは、パリ五輪の開会式(7月26日)の20日前。それまで立法府の政治活動は完全に停止し、政府閣僚を残して議員は選挙活動に専念する。候補者の申請は、10日の週、第2回投票の申請は7月2日までに提出する必要がある。各政党には候補者を見つける必要があり、政党間の同盟を構築する時間はほとんどない。

RNがさらに議席を伸ばし、野党・中道右派と連立を組めば、与党になることもできる。そうなれば、ルペン氏や今回の欧州議会選で最高の得票だった人気の高い28歳のジョルダン・バルデラRN党首が首相になる可能性も浮上する。

マクロン氏の勝算は?

では、マクロン氏の勝算はどこにあるのか。実は過去の2012年、2017年の2回の大統領選挙の決選投票をマリーヌ・ルペン氏と戦い、勝利した経験がある。2回目のときはルペン氏に僅差まで迫られたが、フランスの選挙は第1回投票で過半数の得票の候補者がいない場合、上位2人で第2回投票を行う制度になっており、第2回投票は有権者が第1回投票の結果を見てから熟慮する機会が与えられる。

大統領選の第1回投票で極右候補者が勝ち残ると、有権者の多くはフランスに極右の大統領はふさわしくないという心理が働き、メディアも極右攻撃を激しく行い、結果、無党派層は消去法で極右以外の候補者に投票する現象が起きている。過去の2回の大統領選がそうだった。つまり、マクロン氏を支持して投票したわけでない有権者も少なくない。

今回の総選挙でも、第1回投票でRNが有利になれば、2回目の投票でメディア(フランスメディアは大半がリベラル)を含め、反RNキャンペーンを行う可能性が高いことから、マクロン氏には「フランス人はいざとなったら、理性が働く」ためにRNは勝利できないとの読みがあると見られる。

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